○八犬伝をおいかけて − 八犬伝関連作品紹介ぺえじ○

○かてごり○
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【その他・ちょっと八犬伝ぽい or 八犬伝ネタあり!作品】


【小説】
八犬伝を小説化したもので、作家のオリジナル要素が加わり翻訳・抄訳からは少々外れるものはこちらに。
またノベライズも数が少ないのでこちらに含む。

  
石山透「新八犬伝」上の巻・中の巻・下の巻(復刊ドットコム・2007年/2012年)
・八犬伝人気中興の立役者である人形劇「新八犬伝」のノベライズ版。全ての内容がノベライズされているわけではないけれど、少しでもその面白さが伝わることうけあい! 大満足の上中下三冊。もともとは1974年に出版されたものですが2007年に復刊ドットコムの投票で新装版が発売されました。2012年に再販。私が持ってるのは昭和に出た方なので、新しい方も欲しい。
・映像がないのならノベライズがあるじゃないの! と思って買ってずっと積読していたものを読みました。最初は新八犬伝てなんかいろいろめちゃくちゃなんでしょ(ひどい偏見)と高をくくってた私がドハマリしたww 下手すると原典よりずっと面白いんじゃないの? それくらいボリューミーな内容になっています。とにかく八犬士があちこち旅をしていろんな厄介ごとに巻き込まれ、玉梓が怨霊軍団と戦っていく流れがひたすら面白いし健気でもある。こんなの毎日放送してたらそらハマりますわ。だが雛衣を死なせたことは許さんぜったいに許さん
・最初に書いたようにこれでも全ての話を網羅してるわけではないし端折ったりもしてると知って愕然とした…なんだとっ!
参考リンク:管理人のブクログレビュー 上の巻 中の巻 下の巻
関連作品:人形劇「新八犬伝」(原作)


植松三十里 原案・大森美香「里見八犬伝」(小学館文庫 2005年)
・2006年お正月にTBS系で放送されたドラマ「里見八犬伝」の放送に先駆けて発売されたノベライズ版。
・ノベライズと言っても、作者の植松氏のコメントによるとドラマ脚本と白井訳を元に書き上げたもの。その為ドラマと違っている部分が結構あって面白い。ドラマにはいなかった八房もちゃんといます。伏姫の幼少時代なんか可愛い感じでした。
・でもノベライズで締切が短かったのが仕方ないのか、いやそもそも原案のTBS版が仕方ないものなのか、仇討ちや戦について否定的なのが、考えはともかく書き方がちょっと甘いような気もした。書き方で言えば戦闘シーンもやや雑。玉梓に全悪を集約するのは大体私がカチンとなるところだから言うまでも無いけど、荘助のぞんざいな扱いがちょっと可哀想過ぎるような気もしたり。なので植松氏がじっくり構想し、書き上げた八犬伝を是非とも読んでみたいなあと思いました。
参考リンク:管理人のブクログレビュー 著者による公式HPのコメント


山田風太郎「八犬伝」上下巻(朝日文庫 1986年)
・朝日新聞で連載。八犬伝小説のスタンダードという感じがするのは言い過ぎかしら。角川文庫でも出てるのですが画像にもあるように宮田雅之氏の切り絵の表紙が美しいので、ぜひ朝日文庫版をおすすめしたい。
・「虚」のパートでは風太郎流の八犬伝を(オリジナル要素結構ある)「実」のパートでは馬琴さまを主人公に八犬伝について、馬琴さまのことについてを描いていく時代小説を、それぞれ交互に進めていく。八犬伝と作家・曲亭馬琴についてを両方知ることが出来る良書。個人的には馬琴さまについてはほとんど何も知らなかったので、この小説の伝記的側面によってやっと馬琴さまの姿を知ることが出来た感じです。だから曲亭馬琴入門書、という趣もあるかも。
・親兵衛の喋り方が可愛い。ゴザソーロー
・正直この「実」の世界の方がどんどん気になっていって八犬伝はどうでもよくなっていってたり。実際後半になるとどんどんダイジェスト的になり、反面馬琴パートの筆致が巧みになっていった感じがする。クライマックスは大変感動しました…! 泣きましたとも。熱く長く書いた感想はブクログを参照のこと。
参考リンク:管理人のブクログレビュー上巻下巻

 
鎌田敏夫「新・里見八犬伝」闇の巻・光の巻(角川文庫 1984年)(ノベルス版・1982年)
・この世は闇。闇こそが光を凌駕する。その闇を率いる、残虐非道な妖艶なる男・素藤。館山城を支配する彼らに世界は呑まれてしまうのか。しかし一方で、伏姫が放った仁義八行の珠を持つ八人の者達もまた、それぞれ悲惨な過去を抱え、それを乗り超えながら次第次第に集まっていく。闇に呪われた運命に立ち向かう為に――
・角川映画版の原作。ノベルス版が先に発売されていました。映画版では薄味だったエログロ感が原作だと全開です。八犬伝でここまでおえろすなものがかつてあっただろうか! いいぞもっとやれR18! とか書きながらその女性達の扱いがことごとく悲惨なのだけど、でもその官能が非常〜にそそります。ああでも、浜路あわれ( ;∀;)
・映画版の原作、という印象しかなかったので、上巻はそれなりにちゃんと八犬伝していることに驚き。勿論、特に道節や毛野や荘助など、犬士ごとに原典とは結構違っていたりするのだけど、それがむしろ面白い翻案だったのでもっと早く読んでおけばよかった〜と後悔。それぞれが自分の運命に負けずに立ち向かっていく様子は燃えます。絶対に! 諦めない! 私の書きたい犬士像に近いかも知れない。良い話です。
・下巻から静姫登場。そして親兵衛とのケンカップルぶりが可愛いのなんの。にやにやしながら読んでいました。勿論展開には感動します。映画とは違う終わり方も、これはこれであり……。
・意外なのは映画であれほど印象深い玉梓が最初にちょっと出ただけで後は全く姿を見せないところ。ある意味原典に忠実と言えようか? 映画の玉梓のポジションは素藤のようです。素藤率いる悪の軍団も妖しい魅力と野性味があってたまらなかったりします。
・エログロやだ〜角川版きらい〜と言う人は勿体ないなあと思う。是非是非読んでみてくださいませ。
参考リンク:管理人のブクログレビュー 上巻下巻[
関連作品:映画「里見八犬伝」


山手樹一郎「新編 八犬伝」(春陽堂 1977)
・八犬伝の小説と言えば山田風太郎かこれか、と言う程メジャーな八犬伝。昭和29年版東映八犬伝の原作っぽくもある。
・個人的に「しあわせ八犬伝」と名付けたい。何せ玉梓の存在はないし浜路は死なないし雛衣も死なないし あっでも沼藺と房八は死んじゃうけど、とにかくあの陰惨な八犬伝がこうも前向きに明るい小説になるものか! とびっくりした。信乃と荘助の将来に熱い希望を抱く若者っぽい感じも好印象。荘助の達観には惚れ直す。荘助好きは読んでおいて損はない。
・信乃と浜路がこりゃ官能小説かってほどエロスを感じさせるラブラブぶりなのでノマカプ萌えな方にぜひともお薦めしたい。やっちゃってるんですかね、やっちゃってるんですかね!(鼻息荒く)でも角雛夫婦のらぶらぶももっとあってもいいんじゃないですかね! あってもいいんじゃないですかね!
・エロスといえば伏姫が八房にやーらしい夢を見てるのもおえろすでした! わんわん!
・そして最大の売りの一つであるのはぜーーーったいに毛野ちゃん!!!! おそらく後世の毛野はこの新編毛野に多かれ少なかれ影響されているのではと思う程である。おきゃんで鉄火で可愛いのなんのって。女装少年×女子の描写もあるしね(傍目からしたら百合だけど)はーごちそうさまごちそうさま。
・山手樹一郎はwikiによると「日本の大衆文芸史上、最も安心して結末まで読む事のできる作家」と呼ばれる程ハッピーエンドがお約束の作家であり、この八犬伝も庚申山編までであるが四方八方丸く収まるのである。それ以外にも文章表現や人情描写も素晴らしい。ありがとう山手樹一郎、多くの八犬伝の不幸を救済してくれてありがとう。多くの読者を八犬伝にいざなってくれてありがとう!
参考リンク:管理人のブクログレビュー


八犬伝ぺえじトビラにモドル

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