○八犬伝をおいかけて − 八犬伝関連作品紹介ぺえじ○

○かてごり○
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【舞台】
八犬伝を舞台化したもの。二次作品に近いものも含むが例外的にすべて関連作品扱いとする。歌舞伎等もこちらに含む。


藤間勘十郎文芸シリーズ其の弐 曲亭馬琴「南総里見八犬伝」(2015年)
・日本舞踊家の藤間勘十郎氏が手掛ける文芸シリーズの第二弾。演出・台本を氏が担当し、膨大な長さである八犬伝の中から信乃と現八を中心にした芳流閣と角太郎と雛衣の悲恋が切なさをさそう庚申山の二場面を上演。若手役者たちによる舞、立ち回り、パントマイムと視覚的な表現で描かれる八犬伝。
・てっきり他の舞台作品と同じように筋道を追うように上演するのかしらと思っていたら、歌舞伎のような上演スタイルでした。むしろその方が見ている側としてもお芝居やる側としても一個一個に真剣に向き合えるからいいかも。会場はいい意味で小さく、役者さんも客席と舞台とを大胆に行き来していて臨場感がありました。パントマイムのパフォーマーHADO氏演じる玉梓の愛猫と化け猫の精の存在感がバツグンだったのも独特ですね。
・何といっても最近の作品では無視されがちな角太郎と雛衣がメインになった後編は角雛夫妻好きとしては大変嬉しかったです。まあ雛衣は結局殺されてしまうのですが、所作事として中幕で演じられる恋模様伯舞迷宮(こいもようサンバのめいきゅう)は題名通り角太郎と雛衣の恋愛がサンバの音楽と陽気な舞で表現されていてとても楽しかったです(その後は切ないけど…) もっともっと雛衣出る舞台や作品みたいよ〜〜
・また庚申山仇討で登場するのは現八じゃなくて信乃という意外な改変がなされていたり。愛猫の存在もそうだけどいろいろ面白い試みだと思ったのでぜひ一度八犬伝を通しで見てみたいところです。
参考リンク:芳流閣と恋と化け猫【文芸シリーズ八犬伝ぷち感想】(ブログ「たまきはる」記事)

松竹創業120周年 七月大歌舞伎(2015年) 
・毎月歌舞伎座で公演される昼の部の前半45分で「芳流閣屋上の場」「円塚山の場」を上演。信乃は中村獅童さんが、道節は中村梅玉さんが演じました。
・八犬伝は勿論他の演目ならびに出演者が豪華なためチケットが完全にプレミアものに……一幕見席で八犬伝だけ拝見しました。
・さすがに二場しかないので短いのですが、短時間に芳流閣の興奮や円塚山の悲劇を味わえるのは楽しかったです。一応ちゃんとだんまりで犬士全員出てきたし、こういうのもアリかなと。アリと言えば義成が少年でゝ大さまと一緒に御家再興の為八犬士たちを探して旅をしていると言う設定が面白かったです。
参考リンク:歌舞伎座で八犬伝【七月大歌舞伎ぷちれぽ】(ブログ「たまきはる」記事)


平成27年 初春歌舞伎公演「通し狂言南総里見八犬伝」(2015年)
・時は室町後期。里見家の再興の為、八つの珠と牡丹の痣の縁で繋がっていく若き八犬士達。やがて犬山道節を中心とした八犬士は最大の敵、関東管領・扇谷定正に立ち向かう。渥見清太郎が脚色したものをもとに、河竹黙阿弥の「犬山道節の白井城下の刀売り」を百五年ぶりにアレンジして取り上げる。
・刊行二百周年と言う節目にちなんでの公演にくわえ新春公演と言うことで、普通は夏からスタートだが季節を新春に設定している。その為大塚村で新年のあいさつだったり、浜路口説きのところで雪が舞ったりしている。こういう八犬伝はさすがに初めてなのでとても新鮮なアレンジ。円塚山なんかも雪が積もっていてやはり新鮮。ほか、行徳のところは夏、対牛楼は秋、白井城下は春?とはっきり季節がわかれていて、なかなか面白く感じた。
・道節主役ってありそうでない感じ。主役と言っても最初は信乃の旅立ちから始まるので途中からなんですが、その貫禄満ちた堂々たる佇まいと言ったらなくて道節カッコイー!って思いました。いや、もともと私は道節が好きなはずだぜ…? 白井城下の刀売りの炎上の演出はとにかく派手だった。赤い! なんか爆発した! 炎上サイコー!(※炎上萌え)なお道節役の尾上菊五郎氏はもともと信乃をずっと演じられていた方で、今作の監修もされています。
・他にも、芳流閣は勿論最高の見どころだし、唐風のお着物の毛野ちゃんもあでやかで最高。八人が揃うところもやはり格好いいです。
・NHKプレミアムにて2月1日の深夜に放送された。もしかしたら再放送あるかも。
参考リンク:国立劇場の公演詳細ページ
春のことぶきはなの八総! 【通し狂言南総里見八犬伝・感想】(ブログ「たまきはる」記事)


日本テレビ企画・製作「里見八犬伝」(2014年)
・玉梓の怨念が引き起こした未曽有の天変地異・南総の大崩。時は経ち瘴気の満ちた地に変わり果てた南総と、それぞれの人生を翻弄された八人の若者達の姿があった。やりきれない悩みと焦燥を抱え、時にぶつかり時に嘆きながら、武士の守るべき八つの徳が浮かぶ八玉を携え、彼らは伏姫のもとへと集う。各々が辿るべき運命を問い掛けるべく――
・2012年に上演されたものの再演。八犬伝刊行200周年を記念したもの?と思われる。違うのかな。12年版とキャストを一新し(あ、でも12年で小文吾を演じた村井さんは今回荘助を演じてます)よりフレッシュで意欲的な一作として公演された。
・大阪の千秋楽にあたる11月24日公演を二回鑑賞。12年のを見ていなかったので度々再演もしくは映像化を願っていただけあって再演はありがたかった。当時から脚本のひどさの感想を目にしてはいたものの、私の八犬伝愛のもとに何をおそれるものぞあらんや、まさかそんなに酷くはあるめえ、と高をくくっていたところ「……」となってしまったので推して知るべしである。詳しくは感想を参照されたし。
・大崩で乱れる社会はおそらく震災後の日本を暗喩していると思われる。そこで悩み戸惑う信乃を始めとする八犬士の姿もまた昨今の若者の姿を描いているのであろうか。物語のデウスエクスマキナである伏姫の「運命なのだから」と言う言葉一辺倒にはただただ唖然とするばかりである。もしかするとこの伏姫こそが、突如として降りかかってくる災いのメタファーであるのかも知れない。そう思いたくなる気持ちもわからんでもないが。
参考リンク:公式サイト
それが運命なのだから? 【舞台・里見八犬伝感想】(ブログ「たまきはる」記事)

 
劇団影法師「大型人形劇ミュージカル 里見八犬伝」(2013年)
・「伏姫を嫁にしてやってもいい」と言う義実の言葉を信じて安西の首を取り、落城寸前の館山城を救った一人の雑兵・八房。「領主の言葉は千金の重みがございます」と伏姫は身分卑しい八房の妻となって森の奥へ姿を消す。その僅か二年後、八房を疎んじた家臣達は矢を放ち八房を殺すことに成功するが、誤って伏姫も殺してしまう。更に、伏姫には八房との間に八人もの子をもうけていた。「八房は山犬の化物」と偽り、残されたその八人を棄ててしまう。――それから二十年ののち、同じ珠と痣、不思議な縁に導かれて八人は安房に集う。関東大戦を戦いぬいた末に待ち受ける彼らと里見家の運命は――
・八犬伝刊行200周年記念プレ公演として上演された。人形師の故・川本喜八郎氏が09年劇団貝の火の公演の為に制作した人形が再び人形劇に。脚本・作詞・演出はジェームズ三木氏が担当。これに先んじて横浜人形の家にて29体の人形展示が開催された。
・ミュージカルなので要所要所で歌が入る。場面展開で歌われるのんきで明るい歌から悲愴なものまで様々。歌の最中も劇中も人形達は生き生きと動いていたので同じ人形ものの「新八犬伝」のリメイクを余計に期待してしまった。
・内容は八犬伝、と言うよりはやや里見家や史実推しである。犬士よりもむしろ義実や家臣たち、伏姫の方が目立っていたので、正統派八犬伝を期待して行ったので、違うものを見れたと言う意味では面白かった。でも逆に他の八犬伝が拾わなさそうなレアなエピソードが取り上げられてたりするのがありがたかった。展開もそう来るの?? なものが連続してくる。と言うことで、ツッコミどころも満載である。とにかく時間が短かったのが惜しいところである。詳しくは感想を。
参考リンク:劇団影法師作品紹介ページ
ひとにけものの、けものにひとの 【人形劇ミュージカル里見八犬伝ぷち感想】(ブログ「たまきはる」記事)


M&0 plays「八犬伝」(2013年)
・同じ玉と牡丹の痣を持つ信乃と荘助は「自分達には何か大きな使命がある」と感じ義兄弟の契りを交わす。芳流閣や庚申山、円塚山で次々と出会っていく犬士達。八人揃った彼らの前に現れたゝ大法師は「房州里見家を守る」と言う「大義」があると告げる。八人は里見へ向かうが、そこには思いも寄らない「大義」が待ち構えていた――
・和太鼓の生演奏による躍動感、臨場感、野生味溢れる舞台でした。ギャグもテンポよく、シリアスとの絡め方も絶妙。殺陣も見応えありました。照明の使い方などもよろしよろし。
・ストーリーは、なるほどこうアレンジしたか〜と唸らせるもので原典ファンはもう間違いなく楽しめるはず。キャストの方々もそれぞれ魅力的。主演の阿部サダヲ氏演じる信乃は阿部氏だからかどうも従来のイメージとちょっと違っていて大変新鮮でした。そしてゝ大様演じる田辺誠一さんがかっこいいのだこれが。キーパーソンは第二幕からの毛野ちゃんです。あんな毛野ちゃんは意外と見たことなかったなあ。
・あらすじを読んでどうにもきな臭いと思い先にもじろぐでゝ大様をネタに一本書いたのだけど、当たらずとも遠からじなお話でした。故に、大変満足! まさに現代を生きる私たちの為の八犬伝劇でした。これは本当に多くの方に見ていただきたいなあ。ネタバレありな感想は参考リンクのブログ記事をご参照ください。
・「伏 鉄砲娘の捕物帳」も劇場で三回見たけど、生の演劇である舞台を三回も見るのはさすがに初めてだ。でも三回も見れてよかった。
・13年8月現在森崎事務所HPにてDVD通販受付中です。ぜひぜひー♪
参考リンク:人というケモノの、めちゃくちゃな物語 【M&O plays「八犬伝」感想】(ブログ「たまきはる」記事)
M&O playsプロデュース 舞台「八犬伝」いろいろらくがきれぽ
関連ねた:もじろぐ4(黒幕はゝ大さまっ!?)


二月花形歌舞伎 昼の部「新八犬伝」(2013年)
・大阪松竹座で2013年2月に上演。もとは2002年の平成若衆歌舞伎第一回公演で上演されたもので、今回はそのリメイクとしての再演になった。
・謡曲「松山天狗」や「太平記」上田秋成「雨月物語」の「白峯」から材を取り、物語の発端となる怨霊を従来の玉梓から変えて崇徳院の御霊とした辺りが新しいポイント。日本を魔界に変えんと、その崇徳院が扇谷定正に、網乾左母二郎に変化を遂げていく。
・他の新しいポイントとしては八房がおらず代わりにバカな若様な義成と伏姫が交わってしまう辺り(近親相姦)を「畜生道」としたり(でも畜生道は近親相姦のことだと伏姫屋敷さんが指摘してたし納得)亀篠がいい人だったり道節と浜路が双子の兄妹だったり。勿論芳流閣の戦いなど押さえるところは押さえていて大変見ごたえあって実に面白い。
・大詰めで八犬士が勢ぞろいするのはさすがに壮観! やはり歌舞伎と八犬伝の相性はいいなあ。初めての生歌舞伎観劇でしたがすごく面白かったです。主演の愛之助さんは崇徳院・定正・網乾・現八の四役を担当し、いろいろ早替わりしたり宙乗りしたりすごいです。ネタバレありの感想は参考リンクにあげたブログの感想をごらんください〜
参考リンク:初歌舞伎だったよ!八犬伝 【二月花形歌舞伎昼の部感想】(ブログ「たまきはる」記事)


劇団ルドビコ★Vol.7「八犬伝 -疾風異聞録-」(2011年9月・劇団ルドビコ★)
・毛野と荘助、そして毛野の相棒であるシロを助けた犬塚信乃は四人で「お助け剣・犬塚」なるトラブルシューター業を始めることに。しかし持ちこまれる厄介事は化け猫依頼や怪盗から村雨丸を守れなど、どれもこれも面倒なことばかり。そんなトラブルを巡る中で信乃達は他の犬士達と出会い、玉梓と妖達の戦いに巻き込まれていくのだが……
・予告動画を見る限り正統派な八犬伝か? と思わせておいて、かなりガラリと変えてきているのが面白かった。これは良い予想の裏切り方。コミカルでギャグなども多くて笑えるところ多し。ややゝ大が主人公と言うかメインに据えられているところもあり、伏姫への愛がじんとくる。あとシロと毛野の関係がキュンと来るのです… あ、毛野ちゃんはこの舞台では女の子です。
・小文吾と荘助のユニットソング(笑)や玉梓の歌やメインテーマ等、音楽が多くてミュージカルに近く、劇中歌CDなどがあれば良かったのにと思う。ミュージカルと言えば、舞台が終了すると義実と玉梓が和解しそのままダンスパーティのようなカーテンコールに突入するのも見どころ。犬士達+αが歌ったり踊ったり実に楽しい。こういうのが見たかったのだ〜
・残念ながらルドビコは2013年2月に活動を終了している。DVDがまだ手に入るのかどうかわからないが、興味を持った方は問い合わせてみては。なかなか面白かったので是非。
参考リンク:劇団ルドビコ★公式サイト PR動画(YouTube)
八つの珠と一つの願い 【ルドビコ★八犬伝-疾風異聞録・感想】(ブログ「たまきはる」記事)

劇団KAZARI@DRIVE「八犬伝―獣偏吠える」(2010年11月・劇団KAZARI@DRIVE) 
・魔犬「八房」に嫁ぎ犬の子を宿した「伏姫」は、それを恥じて自害する。姫の死を嘆き天に向かって吠える「八房」。…と、その牙は八つの勾玉となって弾け飛ぶ。そこには、それぞれに文字が浮き出ていた。曰く、狂、猛、猥、独、狙、狩、猜、狡… 行く年か過ぎ、世が再び乱れた時。時代の荒野に「獣の宿命をまとった犬士」が現れる!
・私の地元金沢の人気劇団による八犬伝劇にして2010年における自分内八犬伝ブームの火付け役になった大事な作品。長いこと低調だった八犬伝興味を上向かせたので、この公演がなかったら今の私はもしかするといなかったかもしれない。
・忍法八犬伝のようにそれぞれの珠には「狂」や「狙」など仁義八行とは別の字、全て獣偏の文字が浮かんでいる。それが彼らのクレイジーな性格を表している。そんなわけで全員性格などにかなり問題のある犬士達。毛野と大角はまだまともだけど、荘助が特にひどいwww
・現八が首魁の風李さんでかなりのハイテンションキャラ。思い返してみると私の現八=アホキャラが定着したのもこの舞台のお蔭だったりするのかもしれないw でも勿論そんな中で彼の抱える悩みも描いているからこそ彼の孤独や人間性も深く描かれていた。その辺りのさじ加減は絶妙だったと記憶している。
・KAZARI@DRIVEの作品はどれも面白いんだけど、これはとにかくすっごく面白かったです〜〜><! ああもう一度見たい! 二百周年に合わせて再演してくれないものかしら… 当然ネタバレありの詳細な感想はブログ記事をどうぞ。荘助スピンオフの「獨犬伝」も知ってたら見に行ってたのになあ
参考リンク:犬よ犬よ 我らは犬の末裔よ 【「八犬伝―獣偏吠える」感想】(ブログ「たまきはる」記事)


スプーキーズ#06「新・八犬伝〜爺と婆と時々俺達〜」(2010年5月・スプーキーズ)
・かつて静姫と共に妖婦・玉梓達と戦った八犬士。それから時は流れ江戸時代、平和な時代に「鬼」と呼ばれる人ならざるモノが現れ始め、再び玉梓の怨念が目覚めようとしていた。鬼退治を任されたのは八犬士の子孫達。だけど珠もなければ何の力も無い若者達。鬼に対抗できるのは伝説の八犬士だけなのだ――しかし、その八犬士達は皆、爺、婆になっていた!! どうする、俺達!?
・角川版八犬伝(映画)の後日談のような八犬伝なのが珍しい。有名な由比正雪の乱をモチーフにしているのでその辺りの時代の知識があればより理解できるかも。
・見どころはやはりすっかり老いぼれてボケ老人になってしまった犬士達の目も当てられない姿ww まともなのは毛野くらいw 犬士の子孫もみんなダメな子ばかりでめちゃくちゃ面白く親近感が持てる。性格付けもわかってるなあ、と言う感じ。そんな笑える登場人物達と対照的なのが正雪で、彼の言葉がいろいろざくざく胸にくる…。そして玉梓の生まれ変わりとされる梓が玉梓になるところとか、その娘の皐月の最期が切ないのだ… ギャグもある一方でいろいろ考えさせられる作品。人のあるべき姿とは。
参考リンク:じじいになっても八犬士【スプーキーズ八犬伝感想】(ブログ「たまきはる」記事)
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Blue Shuttle Produce Axle 八犬伝(2010年1月・Axle)
・宿命を、斬り抜けろ――アクサル第11回公演。
・犬士達が持つトラウマや因果を上手く描写している作品。それを克服し、立ち向かうクライマックスには感動。八犬伝好きの方はまず間違いなく楽しめる作品だと思います。八姫婚姻までやる(話が出てくる)舞台はちょっと初めて見たかも。ストーリー自体もそんなに改変していない、改変していても上手くまとめてあるところがポイント。雛衣いないけど…。。。料理の仕方がうまいと思いました。
・出演する全員が男性の方。女も勿論男性が演じ、そこが上手い仕掛けになっていることも。また兼役も多いので、それをネタにした笑いポイントもあったり。またダンスによる演出なども見どころ。ネタバレありの詳しい感想はブログをどうぞ〜
参考リンク:宿命を、斬り抜けろ 【Axle八犬伝感想】(ブログ「たまきはる」記事)
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DOGMAN BLUES(2006年12月・劇団卜社)
・時は室町、戦乱の世の幕開けの頃。安房の国は“人にあらず”の八房党の力により平安を取り戻していたが、里見家の転覆を狙う盗賊・素藤によって再び危機に陥ろうとしていた。里見家の重役・ゝ大法師は今一度八房党の協力を得ようと決意する。一方、悲劇の死を遂げた八房党の志野と金碗大輔の間に生まれた少年・信乃は自らの出征の秘密を知りながらも、安房の平安を守る為、過酷な運命に立ち向かう。
・信乃や荘助と言った犬士達、浜路が登場する分、前回の「南総恋歌」よりも八犬伝。信乃がとにかく凛としたまっすぐな人物。安房の人々を守ること、人を傷つけないことに一生懸命。信乃と言うよりは親兵衛に近いか。でもちゃんと苦悩もする。前回は未来のある終わり方だったけどやはり悲しいものだったのに比べ、今回はそんな信乃のお蔭で清らかなエンドでした。よい八犬伝のリライト。詳しくは感想を。妙椿とかごめのカプが切なくてきゅんとします。
参考リンク:続・人にあらざるものの物語【DOGMAN BLUES・感想】(ブログ「たまきはる」記事)
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南総恋歌(2005年07月・劇団卜社)
・時は室町、戦乱の世の幕開けの頃。少数の家臣と安房に流れ着いた里見義実は逆賊定包と毒婦玉梓から安房の国を救うため、白犬の末裔である「人にあらず」の義賊集団・八房党の力を借りようとする。義実を名君と見抜いた八房党は彼に協力するが、義実の娘・伏姫と八房党のリーダー・親兵衛が出逢い、恋に堕ちて……。“人では無い”と蔑まれた八房達の苦悩とその想い、人と認められなかったある男とその姉、そして親兵衛と伏姫の未来――様々な人々の思惑が絡まり合う一大歴史叙事詩。妖術も妖怪も出てこない、人と人とのぶつかり合いを描いた全く新しい形の八犬伝のプロローグ!
・配役宝典さんを眺めてたら偶然この舞台の存在を知りました。かなり前の舞台なのですがDVDが今でも手に入るありがたさ。犬士の名前は志野(信乃)と親兵衛しか出てこず、伏姫や義実や大輔や玉梓が主要人物なのでいわば犬士列伝のプロローグである伏姫物語の大胆なリライトです。この辺りが大好きな自分としてはかなり期待したことや、その頃にちょうど自分も同じ伏姫物語を執筆していた分もあってとても面白かったです。こういうリライトいいなあー。お馴染みの仁義八行も憎いところで出てきます。
・「人にあらず」つまり「差別」が大きなテーマになっています。そこからの解放、人とはどうあるべきか。登場人物それぞれが何かしらの形で「人」ではなく、どう「人」になろうとするか、「人」になっていくドラマがこの舞台にはあると思う。
・作中はいろんなカップルが出てきてまさしく「恋歌」と言うタイトルに相応しい群像劇(BGMも歌ものなので)特に玉梓好きの私からしたら玉梓のノマカプ萌えなんて貴重どころじゃないって…! 景連を想う玉梓にキュン。そして親兵衛を想う志野が超絶切ないんだああ(´;ω;`)
参考リンク:人にあらざるものの物語【南総恋歌・感想】(ブログ「たまきはる」記事)
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サクラ大戦スーパー歌謡ショウ「新編 八犬伝」(2002年08月)
・すみれが引退した帝国歌劇団・花組の次の演目はよりにもよって「八犬伝」!? さくら達は七人しかいないのに八犬伝なんて無茶だと大騒ぎ。しかしそれぞれ孤独だった自分達の生い立ちを思い出し、「花組と八犬士は似ている」と気付く花組。支配人の願いも込められた八犬伝劇を成功させる為に花組は一つになる。そして幕の上がった「新八犬伝」――玉梓の呪いと伏姫の祈り、様々な因果と偶然に導かれながら、兄弟達は安房に集う……
・サクラ大戦の歌謡ショウがスーパーになってからの一作目です。二部構成となっていて、一部では花組が八犬伝をやろうと一致団結するまで、二部からは彼女達が演じる「新八犬伝」 「新八犬伝」だけでも楽しめますが、サクラ大戦を知らなくても第一部も十分楽しめるものだと思います。勿論サクラをプレイした人や知ってる人はなおのこと! すみれの抜けた花組の事情と、まだ見ぬ兄弟を探しに旅に出る犬士達が見事にシンクロして本当にすごく感動しました。また演じるのは舞台畑の人達ばかりなので、どの方の演技も素敵です〜。
・新八犬伝は原作者の広井王子先生のオリジナル八犬伝と言う感じでいろいろ面白いっ! 「愛」を強調した八犬伝劇でした。原典以上に犬士達に里見家との接点を持たせてます。キャスティングもどこか犬士とキャラリンクさせてる感じがするなあ。信乃役の織姫はお父さんとの確執があったし。
・勿論歌謡ショウとあるからには劇中歌がふんだんにありまして、特に「未来の兄弟たちへ」がとっても八犬伝ソングで素敵なのです。間奏のところで仁を除くそれぞれの徳について口上を述べるのがかっこいい。
参考リンク:約束しよう 私達は 必ず君に出逢うだろう 【サクラ大戦スーパー歌謡ショウ・新編八犬伝ぷち感想】(ブログ「たまきはる」記事)


ショーGEKI大魔王「スーパーパフォーマンスアドベンチャー 八犬伝」(2001年10月・ショーGEKI)
・芳流閣での信乃と現八の出会いから始まり、次第次第に集まっていく犬士達に、関東管領扇谷定正、そして里見家を恨む玉梓が怨霊の手先が次々襲いかかる。命を落とした浜路、雛衣らさえも利用され、さらに仁の犬士であるはずの親兵衛は、実は――
・ストーリーに豊富な登場人物達とアクション、そして作品を盛り上げる劇中歌、どれをとっても素晴らしい作品。登場人物はマイナーなキャラとかも拾っていておっ? と思える。沼藺の設定が違ってるのだけど、こういう沼藺は見たこと無かったなあ。それと、親兵衛の親衛隊達が面白いし、親兵衛の登場には毎回問答無用で笑ってしまうことうけあいw 悪役の玉梓がカーテンコールで最後に出てくるのである意味一番の主役なのだが、その造形やコンセプトは人形劇「新八犬伝」のそれに近いと思われる。とにかく玉梓かっこいい。カリスマ性溢れてます。玉梓とのラストの戦闘シーンもメインテーマにのせられて、それぞれが見栄を切ったりしてとてもかっこいいです。
・浜路と雛衣が死んだ後に玉梓に利用され犬士達の敵になる、と言う非常にオイシイ展開があったのもイイ。犬士達の排他的な関係をびしりと言い当てる浜路の嘆きの叫びは聞いててとてもツラくて切なかった……。まあその後にアイドルになってたりする超展開があるんだけどさw! 伏姫も私がギャグで描くような伏姫に近くて、犬士達をバシバシ叩いたりしてとてもアグレッシブw 「私の為に戦ってちょうだい♪」のキャラソンも強烈なれど、その反面どこか哀しさも伺える。そういう意味から見ても、とてもいい作品でした。いつか再演してくれないかなあ。それかDVD通販とか再販とかして欲しい…
参考リンク:私の為に戦ってちょうだい♪ 〜めぐる因果は糸車〜(ブログ「たまきはる」記事)
関連ねた:毒を食らわば皿まで
関連作品:ショーGEKI大魔王「スーパーパフォーマンスアドベンチャー 八犬伝」サウンドトラック

時代錯誤歌劇「八犬伝」(大正9年(1920年)7月・宝塚歌劇団夏季公演・脚本:坪内士行)
・人形浄瑠璃の形式をわざと使った、何らかの批判の意図を明確に持つ八犬伝劇。参考文献が抜粋した脚本によると、どうやら円塚山の、網干・浜路・道節の三者のシーンを舞台化したものらしい。勿論、映像等は残っていないため見たことはない。今回は参考文献からわかることを書いています。
・以下、ちょっと抜粋。
「我輩いやしくも廿世紀の者として、こんな非芸術的な物に拍子木を打つ理由を発見せんです。
 今少し内容あり、意義あるものと思つたればこそ、敢てプロローグの労を取つたれ、
 こんな内容の陳腐、形式の矛盾した、見た目ばかりの旧劇の模倣を何時まで喜んでゐようぞ……」
 そう、この八犬伝はどことなくメタ的な手法をとって、当時の宝塚歌劇の傾向を激しく風刺したのである。
・阪急電鉄をはじめとする阪急東宝グループの事業主であり宝塚歌劇団の座付作家でもあった小林一三の迷いの時期に上演された演目であり、参考文献曰く「作品自体、一三への批判、または問題提起」だった作品。脚本は坪内士行が筆名・赤とんぼを用いて書いた。坪内士行はかの坪内逍遥の養子。士行の性格はまっすぐとしたもので、一三を深く敬愛し一三もまた士行を高く評価していたが、そのまっすぐさ故にこの作品によって迷える一三の取る路線を批判した。一三もまた「坪内君の作たる八犬伝は時代錯誤歌劇として遺憾なく宝塚歌劇の長所と短所とを尤も皮肉に説明してゐる。我等の手前味噌に共鳴する多数観客の値打を嘲笑して、味噌とバタの不調和を如何なる程度迄黙認してくれるか、といふ問題を観客に提供しつゝある」と論文に書いている。
・この本全部ではなくて、このことが載っている第八章を該当ページまで読んだだけなんだけど、一三と坪内逍遥がとても似ている人なんだなあと感じたし本の方も指摘している。邦楽も愛し、しかし洋楽も志さねばならなかった、宝塚少女歌劇の為に古い芸能から脱却しなければならなかった一三は、八犬伝を愛しながらも新しい文学の為に八犬伝を否定しなければならなかった逍遥と被る。そしてそんな一三を批判し、しかもその批判の矢として「八犬伝」を用いたのが、八犬伝を否定した逍遥の養子にあたる坪内士行だったというのは、馬琴さまもびっくりなくらい巡る因果の意図車(誤変換ママ)を感じずにはいられない。
・それにしても“時代錯誤”とは士行の宝塚への批判の為に持ちだした言葉であるけども、それが八犬伝と結びつくと、八犬伝もこの時代「時代錯誤」だったのではないのだろうかとふと思ってしまうのである。でも、明治の頃は逍遥の呪いがありつつも青年学生によく読まれてたらしいし…大正時代の八犬伝受容がどのようなものだったか知りたくなった。
参考文献:阪田寛夫「わが小林一三 清く正しく美しく」(1983・河出書房新社)
(ブログにコメントをくださった桜の時さんに教えていただきました。ありがとうございます)


八犬伝ぺえじトビラにモドル

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