○八犬伝をおいかけて − 八犬伝関連作品紹介ぺえじ○

○かてごり○
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【児童書】
八犬伝を小中学生向けにリライトしたもの全般。性質上省略やオリジナル要素が含まれる場合もあり。


文・こぐれ京 絵・久世みずき 永世「南総里見八犬伝」(角川つばさ文庫・2013)
・「サトミちゃんちの8男子」をリリースしている角川つばさ文庫から、8男子も6巻で全員揃ったこのタイミングで、「日本一の超大作が面白さ200%で一冊に!」というキャッチコピーを背負いいよいよ原典が刊行。確かに日本一の超大作っすわ。
・表紙や登場人物紹介を見ればわかる通りそのままサト8の男子達やサトミちゃんが登場人物になっているような感じで、口調や性格なんかもほとんどそのまま。サト8の読者ならより一層楽しめるものになっている。まあとにかくみんな可愛いったらない!! だいたい読書中わたしは「可愛い」しか言ってなかった。
・対象年齢は小学生上級から。浜路口説きなどの色っぽい部分、行徳編や庚申山(雛衣がいなくてTBS八犬伝ぽい感じの趣向になってる)などの血なまぐさい部分を非常にうまい具合にリライトしていてとても面白かった。正直たかをくくっていたのだけど、結城法要・管領戦・八姫婚姻・痣消失・四天王像開眼・犬士登仙などなど予想以上に原典に則って書かれていたのでこぐれ先生にはただ感謝の念。先生的にもいろいろ悩まれて書いたそうだ。大変なお仕事どうもお疲れさまでした。はっきり言ってここ最近読んだ八犬伝のなかでは一番面白かったし、何よりずっと発売を待っていたので読み終わるのが本当に寂しかった。
・こぐれ先生の後書きにも非常に感動したのでぜひ読んでほしいです。多くの少年少女たちのはじめての八犬伝がこの書であるといいな。
参考リンク:角川つばさ文庫特集ページ 管理人のブクログレビュー 管理人による読書twitter実況
関連ねた:真の主人公は誰だ

文・生越嘉治 絵・西村達馬 「ジュニア版里見八犬伝」(あすなろ書房・1994〜1995年)
・大きな文字に多めの挿し絵、時折入る解説や地図などいかにも小学校低学年向けのわかりやすい八犬伝。全十巻で題名も「怪力少年がやってきた」や「おどる美少女のひみつ」や「力をあわせて戦えば」や「それゆけ八犬士」などどれもじつに明朗。エピソードもジュニア向けっぽくないものは適宜削られてたり(浜路くどきたったの三行……)人物の関係が変わってたりいなかったりとかするけど、マイナーなエピソードを収録していたり、京物語も省いていなかったり、正直「アタリ」な児童書八犬伝と言えようか。これで八犬伝入った少年少女って絶対ラッキーよ。
・本文も原典で見た表現などがうまく訳されてたりして、覚えてたら、お! ってなるはず。十巻全部面白く読めたので大人にもおすすめ。特に、本文でないけれど巻末にある著者の「おうちのかたへ」が八犬伝や馬琴の解説などしていて面白い。
参考リンク:ブログ「たまきはる」記事

   
文・浜たかや 絵・山本タカト 「南総里見八犬伝」(偕成社・2002)
・「妖刀村雨丸」「五犬士走る」「妖婦三人」「八百比丘尼」の全四巻からなる。原典の流れに沿いつつも、浜たかや氏のオリジナル設定なども多く、四巻目から大きくオリジナル展開を広げている。しかしながらわかりやすい物語で、山本タカト氏の妖しく秀麗な挿絵と総ルビなところも魅力的。小学生高学年から大人まで楽しめる、お薦めな八犬伝。四巻目には解説と人物リスト、八犬伝の評価について、馬琴のプロフィール等を収録。
・多くの方がこれで読んだと言われてたし、私も前から読んでみたかったので原典読了後結構すぐに読んでたり。山本タカト氏の絵がほんとにふつくしい、変にラノベっぽくなくて純和風ってところをよく伝えているなと思います。ちなみに私の雛衣のキャラデザはこの八犬伝のを参考にしてたりします。犬士の中では道節がピカイチでイケメンさんなんだー。くそー公式で美形扱いだしな、かっこいい。
・しかし玉梓の怨霊一辺倒な書き方どうにかならんか。挿絵も生首こわいどこの般若だよだしw 船虫・夏引・箙大刀自までもがなんか「玉梓の怨霊」ってカテゴリにくくられてる感じなのもすごく納得がいかなかったし、あーあー何でもそんなんで片付けられたらラクだよねえ? って思い出して若干腹立ってる。つか箙大刀自の挿絵ひどいよw こんなんに描きたい気持ちわかるけどこんなんじゃないだろって言うw まあそんなわけで、玉梓厨であるところの私としては皆お薦めしてるけどちょっといただけないなー、と言う感じでもあるのです。
参考リンク:管理人のブクログレビュー 一巻 二巻 三巻 四巻(新ウィンドウ開きます)


長崎源之助・編 田代三善・画 「南総里見八犬伝―八人の勇士とふしぎな玉(はじめて出会う日本の古典)」(小峰書店・1998)
・もともとは1966年に出されたものの新装版。ですます調の素朴な文章が良くて古典や文学と言うよりもむかし話を読んでいるような気分になれる。いや、昔話とされるものはあまねく古典文学なのだけど。拙作の八愛の各話冒頭にある「おはなし」のようなテイストに近い八犬伝かもな、と振り返って思う。
・中身は意外な省かれ方や展開をしていてこれも面白い。古那屋の惨劇をなくして現八が買ってきた薬で信乃が回復したり、毛野がかんざしで刺客を倒すのと仇討ちが同時進行してるし。ちなみに玉梓も妙椿も出てこないです。


著・猪野省三 絵・久米宏一「南総里見八犬伝(これだけは読みたいわたしの古典)」(童心社・2009)
・「空とぶ白竜―わたしの八犬伝」として1981年に出版されたものの新装版。義実の国盗り物語から伏姫物語まで、第1回から第13回辺りをベースに書かれた珍しい八犬伝。八犬伝とあるが主役はもっぱら義実であり、オリジナルキャラクターや白竜を何度も登場させるなど非常に独特。
・そう。独特。と言うか八犬伝知ってる人、好きな人からしたらこの本は ( ゚д゚)ポカーン とすること間違いなしである(笑)伏姫屋敷のゆーかさんは「八犬伝のようであって全然八犬伝ではないような」と書いているのだが、八犬伝を読んでいたつもりが全然違うものを読んでいた、読まされてしまったと戸惑うこと必至である。私的に喩えるなら、エンディングを目指してプレイしていたはずが、選択肢をあやまって早い方のバッドエンドを回収してしまった、と言う感じ。
・何せ「八犬士が出てこない」どころか「出てくる予兆すらない」のだ。八犬伝のアイデンティティを根本からぶっ壊しているw こともあろうに、あの白竜が珠を回収してしまうのでww お前関係ないだろww 伏姫の「心の病」とかもうツッコミどころがあり過ぎて間に合わない!
・解説によると、八犬伝の典拠の一つである水滸伝の持つ「虐げられた民衆(主に農民、百姓)の力」のようなものを書こうとしたらしい。読本や黄表紙の作家(京伝とか)が弾圧を受けていたことを踏まえて、「(馬琴の)八犬伝は幕府の目を逃れる為にそれ(民衆)を排除したがそれは誤りである(=八犬伝は間違っている)」的な書き方をしてて、激しく違和感を抱いたし、嫌悪感に近いものも抱いた。「八犬伝は表面的な面白さだけを狙い、根本では、支配者の喜ぶ儒教のある一面を、読者の心にしみこませようとする作品になっていますから、「水滸伝」のように今日私達が読んでも感動出来る、というわけにはゆかないのです」(だからこの作品は、水滸伝のように民衆の力を書いた八犬伝であって、素晴らしい、と締めてる)と言うのも、どうかと。
・むしろこの本の著者の方が八犬伝の表面的なものしか見えていなかったのではないか。はっきり言って、この書は改悪された八犬伝である。「原作「八犬伝」の弱さが正しく補強せられています」って、何が「弱さ」であろうか。そちらが変に歪めているのであろう?
・他にも書きたいことはあるが、ブクログレビューとブログ記事を参照されたし。
参考リンク:ブログ「たまきはる」記事 管理人のブクログレビュー

八犬伝ぺえじトビラにモドル

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