そして辿りついた場所は古ぼけた神社だった。鳥居も狛犬も石畳も樹木も草花も、全てがぼんやりと霞んでいる。


 神社の中央には、梓の枝。


 強烈な風が吹く。周りをがさがさと不安げに、苦しげに揺らす。やがて風は紫に色づいていった。あまりの強い風に、スピカは目を閉じてしまう。














 それが、別世界へ飛ぶ鍵となった。次に目を開けた時、そこはもう安房でも和秦でもどこでもない。


 紫色の世界が、ただ広がっていた。


  3
黄の章(下)第二話へ続く
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