肇輯(トビラに戻る)

○各回じゃんぷ○
第21回〜第25回 第26回 第27回 第28回 第29回 第30回

〜南総里見八犬伝 第三輯〜(岩波文庫第二巻収録)第26回〜第30回

長くなったので第三輯後編は新しいページで。

巻之三 第二十六回「権を弄て墨官婚夕を促す 殺を示して頑父再〓(じょう)を羞む」○
はあ……26回か。つらい回だな。

信乃と額蔵しばしの別れ。横堀史在村には気をつけよ。OKわかってるぜ兄弟。
あっあれだ。信乃の就活のくだりだなここ。
まあ、もし上手くいかんくっても。
「今の世は臣も亦、よろしく君を択ぶべし」
なーんて言ってられる世の中じゃねーっすよッ!! と言うツッコミを胸に秘めつつ。許我殿だけじゃないっしょ、と言う信乃。
……まあでも考えてみたら戦国時代て引く手あまたの時代だったのかも。下剋上とかあるってことはそれだけ下の者が力をつけやすいってことだし。時代も戦国なら就活も戦国なのね。氷河期よりはずっといいか。
……何故か不意に「ブラック殿に仕えているんだが俺はもう限界かもしれない」と言うタイトルが浮かんだ……
ところで、里見家に仕えるまでこいつら全員ニートだったんじゃないかって気がしてきた……いや、旅籠手伝ってた小文吾はそうじゃないし、親兵衛もまだ子供だし…現八は職場放棄? 道節は…父さんの会社が倒産した(笑えない) 大角は出家してるようなもので荘助は下働きで毛野は水商売…?? まあそんなことはどうでもよくて。
「みづから愛顧したまへ」と言って別れる二人。みずからaikoしたまえ! みずからaikoしたまえ!(そのaikoじゃない)

亀篠・蟇六、邪魔者の信乃は追い払ったのであとの問題は浜路だけ。五倍二の方からは怒りの催促であります。どうでもいいけど暑さの描写が多いからホント旧暦六月って暑かったんだろうなーって思う。今の八月くらいだしね。
軍木のところから帰ってきた蟇六。何と結婚は明日にしよう! と言うこと! なんじゃそりゃちりとてちんかーー!(第14週)
陣代、想像するだけでセクハラオヤヂでキーモーイー キモチワールーイー てづから看病するとかーイ゛ーヤ゛ー
客分の嫁だから略式でいいからはよはよって感じがいかにも浜路だけ欲してるとこがきーもーちーわーるーい
いくらなんでも火急過ぎるってばよー…でもここまで来たからには何としてでも浜路にウンと言わせねば! 脅してでも連れてくべ!

一方の浜路、信乃に捨てられたも同然。部屋に閉じこもっていた。でもわかるよ…そういう時って何もしたくなくてずーっと寝たりとかしちゃうよね。そんで余計しんどくなるんだけど。「臥所ごもりに夏の日も、わが身ひとつの秋の暮」ってところ何となく伏姫の描写思い出した。
亀篠が来ていろいろあれやこれや宥めすかす。信乃の所為でそんなになってるんでしょって。この信乃を悪しざまに言う辺りがすっげムカツク……あの畜生とまで言われるし。蟇六川に突き落としたーとか言うし。全部を知ってる読者からしたら腹立つことこの上ない。何なんだよケッケッ!

「さる鳴呼(をこ)の癖者が、まだ一宵も倶寝せぬ、その名ばかりの妻をしも、いかにして思ふべき」

――でもこれはきっと真実だから、グサッとくる。
そんなひどい男に操立てて何が貞女だとも、かえって親を心配させるの、と。

ここで陣代との結婚話を出す。浜路、肝が潰れよよと泣く。ああ…浜路のソウルジェムが…どんどん…(´;ω;`)
「信乃がいるから遠慮してたんだけど〜」とかこれもしれっと言うからすげーいムカつく。
「結婚すれば二親も嬉しい孝行」か……クソッ

浜路、絶望に沈まんとする己の心を励まして反発!
信乃さまは悪い人なんかじゃないですわ! 一旦結んだ縁があります。

 「わたくしは……」
 「……あたし、は、信乃さまの妻なんです!」

↑この下書き職場で書いてたんですけどここらへん書いてて泣いてました。
(ところで「夫といふもの、犬塚ぬしの外になし」って言うの伏姫が八房以外にいないって言ってたのと似てる)
このまま無理やり結婚したら密夫になるしわたしゃたをやめ(淫婦)になるんじゃないかいっ! ここは第13回の伏姫に似てる。
それと「初わらはを妻して、職禄さへ譲らんと宣はせしよしは」って言うけどこれも第九回の伏姫の反論と似てる。
浜路も、伏姫と同じで約束を守ろうとする女なんだよね。あるいは約束の履行を迫るって見方をすれば玉梓の後継のような気もする。私は、浜路って伏姫よりむしろ玉梓よりの女子だと思ってるんですよね。

「いまだ婚姻せずとも夫婦ならずと誰かはいはん!」

浜路の舌鋒すごいぞ(´;ω;`)!! あ、「!」は私の脚色です。

亀篠、この勢いにちょっと呑まれそうになるけど……どっこい、それよりも上手な蟇六がいるのだった。あああorz
入り込んで来てこうなりゃ仕方ないわ儂が皺腹詰めて許してもらうんじゃーーっつって切腹しようとするしーー!

もうねもうね、ここ読んでて何が辛いって「孝」の怖さですよ。
大角のことにしても浜路のことにしても、そして伏姫のことにしても、「孝」ってすんごい重い。徳じゃなくて罪になる。いや、親の方から「孝」を持ち出してやりこめば子供にとっては何でも罪にもなる。
逆もあるだろうが。徳って怖い。親階級からの支配怖い。

「よしや貞女といはるゝとも、ただ不孝の子とならば、いづれ人たる道は欠けなん」とか
「親を殺すも殺さぬも御身が心ひとつにあらん、禁むるばかりが孝行か」とか

「孝」がどうも一番の徳であって、それは江戸時代、いや戦国の頃から綿々と続いてる社会のシステム(封建制度かな)が「孝」及び「忠」を一番にさせたんだと思うんだけどさ、
ありがたい徳や教えであるってことは、それと同じくらい確かに、「これを利用してとんでもなくひどいことをすることを可能にさせちゃう」くらいの危険性を孕んでるよね。もしくは、「孝」と言う徳の名のもとにその人の人格や人生を夥しいまでに破壊してしまう。
どちらかと言えば「忠」の方がその危険性は強いかもしれないけど、「孝」の方が、「親」と言う、逆らいきれない“情”が絡んでいる点で厄介だと思う。
とんでもなく危険なことの事例を述べるのだったら(これもどちらかと言えば忠よりだけど)大東亜/太平洋戦争がその最たるものだと思うし、パーソナルなものを破壊すると言う観点では、八犬伝のエピソードを引くと、伏姫が親の言葉を守って八房と共に富山に行ったり、大角が父の言葉に逆らえず雛衣を死なせたり、この浜路のように「不孝である」と脅されて望まない結婚を強いられたりもする。
確かこの八犬伝の「孝」の暴力性についてはどっかの論文にあったと思うんだけど……高橋京子氏の「犬村角太郎における孝と礼の束縛」が面白そうと思ったので取り寄せてみた。未読ですが。

「孝」や「忠」と言う徳は一見ありがたいものだけど、そのありがたさに隠れる悪意と言うものが必ず出てくると思う。
利用されるのだ、徳は。それは宗教の教義とか教えでも同じことで、気付けば取り返しのつかないことをしでかしてしまうかもしれない。
戦前の日本がそうだったように、95年の春、東京の地下鉄でそうあったように。
私は、それがすごく怖いと思うのね。「強制」への恐れね。盲目的にまで従うことへの恐れ。
そう言うのが本当の悪だと思う。なので、蟇六と亀篠ははっきり、悪だと思う。

と、八犬伝からなんか脱線しつつあるけど、当の馬琴さまが何を思っていたか考えていたかなんてそれこそ神のみぞ知るだけど、
よくいろんな人が「馬琴は勧善懲悪など信じてはいなかったのではないか」って言うのを思うと(確か小谷野氏がそう書いていたような…違うかな)私の感じる恐れとかそういうものに対する危惧はもしかしたらちょっとはあったのかもしれん。
だって、こう言うの書けるってことは、それだけその危険性をわかってるってことだし。

長々と脱線が続いたのですが、八犬伝を読んでいく上でどうしても生まれてしまう疑問みたいなものだったので、書きしるしました。
まあ個人のホームページのメモなんで。戻りましょう。

そんなこんなで浜路は逆らうことが出来なくて。けれども結婚なんかしたくなくて。
選べる道は一つだけ。選択を放棄すること。
それはすなわち、死。

浜路は死を決意する。なのに見張りが多くて実行出来ない…
人の口に戸は立てられずとよく言ったものでして、今日(19日)結婚だってYO!と言う召使いたち。おおおう…´`;
そんなわけでどたばた大塚家でやす。

 (あたし、は……)
 (絶対に)
 (……信乃さま以外の人と、結婚なんてしない!)

それは静かに燃える炎。
死出の道を歩かんとする、花嫁に灯る決意の火。
きちんと身支度を整え化粧したりもしてる浜路にああは言ってもやっぱり…(ニヤァ)←やっぱムカツク
と、すっかり騙される亀篠、並びに蟇六。大塚家のどたばた準備は続く!
ということで第26回しめ。でやんす。
(以上2013/06/16迄)

巻之三 第二十七回「左母二郎夜新人を略奪す 寂幕道人見に円塚に火定す」○
さあさあさあ27回に行きましょう。
【伏姫】始まる前にちょっとー!
【玉梓】なんじゃい。
【伏姫】ブランクが! 五ヶ月もあいてますよ!!
【伏姫】夏が!! すっぽりない!! 半年! ほぼ半年!!
【伏姫】これじゃ年が改まってしまうじゃないですの〜〜!!
【玉梓】なつがお〜わって〜 しまうあ〜いずが〜♪
【伏姫】歌うことで誤魔化さないでくれませんこと!? 夏どころか秋が終わりますわん!?

はい。忘れた頃にやっと更新の原典めもです。アカデミックな方向のコンテンツ(ここ)が充実してないのに、この五ヶ月の間で更におばかな八犬伝ぺえじになりました。浜路の話の執筆とか創作の執筆とかいろいろあったもので…すみません。ちなみに下書きメモ自体は五月頃からあります。間が空いてごめんなさいのマクラはこのくらいにして早速本編。

第27回冒頭に登場するはあぼちゃんこと左母二郎。村雨丸摺り替えの時の所為で風邪をひいちゃったらしく、一日休んで回復。
しかしこの一日の間にご存知の通りの展開になっているわけで… そうとも知らないさもティは背介から話を聞いてびっくりである。ところで、背介のことを「先生」なんて言って持ち上げたりする辺り、やっぱ幇間っぽいなあ…と思う。
婿入りー!? 相手は信乃か!? と聞けばまあ、違うわけで。代官・簸上宮六なわけで。この時の背介さんの台詞が結構好き。彼初物(かのはつもの)ぐへへじゅるり(やめんかい)
でも、以前書いた通り、信乃は奪われるのわかってて出発した節があるじゃないですか……
ああ、なんかまた虚しくなってきたよ…(´・ω・`)
背介さん、無駄話もしてらんないので、さらばい。「夜にはきませ」って言うのいいね。

さもティ怒りに煮え狂う腹を落ち着かせて背介さんを送り、水も沸騰するぜこいつぁ!!!
激おこなんぞ生ぬるい!! ムカ着火ファイアーー!!!
信乃と結婚させるって言うならなだわかるけど、龜篠あんにゃろ俺に浜路やるって抜かしておきながら何で陣代にやんだよコノヤロコノヤロ
はっ。浜路のことなんか嘘で、ただ単に刀を摺り変えさせる為に俺を利用したってやつですか?
ええーーーい!! こうなりゃ今夜婚礼の時に乗りこんでってめちゃくちゃにしたるさかいなアホンダラアホンダラァ!!!
……いやしかし待てよ。それしたら、俺が刀摺り替えてんのバレるやん。やんやん。村雨持ってるのだってバレるやん。やんやん。
浜路と自分の仲のことを言っても証拠に欠けるし、……てゆーかそういうの全部、判決下すの陣代やん…?
どう考えても不利やん? ブタ小屋ぶちこまれて責苦の挙句死ぬルートやん…?
……詰んだな。あのババァここまで読みゃあがったんか(いやそれはどうだろう)
ここまで踊らされたのにゃあ己の愚かさが露呈して腹も立つが……

村雨丸はこっちにある。何も言ってこねえところを見ると――どうやら俺のなまくらを村雨だと思ってやがるな。
上手く騙されてくれたってことだぜ。ハハ。(……唐突だけど、網乾のCVきーやんがいい)

――が、俺も男なんでな。
浜路をやると言われて、今更誰か他の男に取られてたまるかよ。

……と、ちょっと調子に乗って訳してたから逸れてきてアレなんですが、そのまま村に居座ってたら居座ってたでなんか座り心地悪い…みたいな感じだし、じゃあ婚礼の席を血祭りにしてやろうか、そんでもって花嫁と逃亡でい、とも思うけど、多勢に無勢ってやーつー。どのみちデッドエンド。
ここは無難に浜路を無理やり連れて駆け落ちした方がベストな選択。浜路は、信乃がいたからつれなかったてだけで、邪魔者のいない今、あんなゲスいセクハラオヤジ陣代と結婚したいわけがねえ。俺に惚れてるかどうかはこの際些細な問題だ。

――こんな田舎、信乃がいなけりゃ鳥籠よりも窮屈だぜ?
誘われれば、逃げるに決まってら。
あくまでも信乃に操立てるってんなら、京でも鎌倉でも、適当なとこで売りゃあいい。
くだらねェ操に忠義立てて、そこでおっ死んでろ。

さァて――村雨だが。これを扇谷殿へ献上すれば、まァ帰参は間違いなしだ……が。
出所が悪い。かといって、成氏公のところへ持っていけば、信乃のこともある。
残る道は――簡単な話。四の五の言ってねえで、そのまま京の将軍様に献上しちまえばいい。

そうと決まれば――どうせ独身、大した家具や調度品があるでもねェ、ぱっぱぱっぱと売っ払って路費にして旅の支度でィ。
そして浜路をどう拐すか――

「はやく」
「夜がこねェかなァ――」
「楽しい夜の」
「はじまりさ」

第27回前半網乾パートはこんな感じ。

さて。浜路の方である。
既に死のうと決めたけど、その気配を表には出さず、じっ…と寝床を出ない浜路。亀篠と蟇六の方はすっかり騙されているわけで、婚礼準備に大わらわ〜であることは前回の通り。浜路のいる方にこないわけで、浜路はそのスキをついて逃げ出すものの、どこも人の出入り激しく……彼女が辿り着いたのは納戸の背庭(裏庭)であった。
ここの「顔にかゝれる蜘網(くものす)は、女雛を包む吉野紙、つまを喪える風情なり」っていう文章がすごい好きだ。文章てか表現か。

人気のないところ。もう日も暮れて暗いこと。
ここがあたしの死に場所。
ここがあたしの地獄。

カモフラージュはしてきたし、バレないうちに……と首くくる用の組帯をかけて、さあ――首を。
首吊りを。と、思うのに……思うのに。

(どうして)
(どうして……こんなことになったの)
(どうして……死ななくちゃいけないんだろう……)

何があたしを祟っているんだろう。これは一体どうして。
本当の両親や家族の名を知ることも出来ないで、ひどい養父母に利用されて、
……でも、育ててくれた恩があるから、完全に憎み切れないし……。

……。
でも。
あたしが何より守りたいのは……信乃さまへの想い、だから。

それにしてもつらい(酷い)のは父母達だわ…と愚痴る感じで。
お金なんかいくら貯めたって、死んだ後に残るのは名前じゃない。その人の名誉じゃない。……ってことかな。意訳するなら。

でもそんな風に、恨んでも。
なまよみの甲斐なき女子。

「……女って……」
「何でこんなに……何も出来ないのかしら」

大塚から古河まで、信乃さまの言うように、そんなに遠くはない。鳥なら一日もかけないで渡っていけるでしょう。
だけど――あたしは鳥じゃない。
あたしには翼はない。
だから、飛んで行けない。

(……終わりね)

方法は全て無くなった。いいえ、初めからそんなものはない。
あの夜、信乃さまがあたしを連れ出してくれていたら、あるいは。

(あたしは、信乃さま以外の誰かのものになるくらいなら)
(なって、生きていくくらいなら)
(死んだ方がずっとましよ)

――そんな我儘な想いが、あたしを熱くする。
それなのに、中心は凍てつくような冷たさだった。
絶望が、そこには既に息づいていた。熱も希望も、吸い込まれていく。

そうしてあたしは、諦めた。
生きることを、諦めた。

(……こんな風になるのなら)
あるいは、の夜。もしかしたら、ありえた今日。
(あの時……もっと、お話しておけばよかった)

不意に、初更の鐘がなる。
あたしの命を終える時が来たと。
不気味に低く笑うようなその音は、あの日の鶏声よりもずっとずっと恐ろしいものだった。
(当たり前ね)

――いつか、信乃さまが。
あたしが死んだことを聞いて、ここに帰ってきてくれて、供養して……うん、それ以上の供養はないわ。それで十分。

(……ねえ、信乃さま)

あたしのこと、少しだけでも、
好きだって、愛しいなって、思ってくれた?


 嘘をついてしまったのは 精一杯の抵抗
 あなたを忘れる準備を しなくちゃいけないから
 一つだけ思ったのは あたしのこと少しだけでも
 好きだって愛しいなって 思ってくれたかな?
(aiko・二時頃)


思っても尽きない、信乃のこと。まだ見ぬ家族のこと。
我慢しようと思っても出来なくて、涙は、溢れ続けていた。

再び左母二郎のターン。何やらしめっぽくじっくり書いてしまったけどはしょるで。
人の出入りが激しくて忍びこめないで難儀してたけど、裏の方に犬が出入り出来るくらいの崩れがあったので、そこから侵入左母二郎。「犬」って辺りが八犬伝だな。
ここらへんは浜路の部屋に近いところじゃーん、道はようわからんが更なる侵入は余裕じぇーい、と思ってたら聞こえてくるすすり泣き。誰かと思ったら浜路やないかーーい! 天は俺に味方をしている!! チャーーーンス!!
やっぱ陣代との結婚が嫌で首くくろうとしてんだナ、
誰に操を立てようかってそりゃあはっきりとしたことはわからんが、オレだろ!!!
……って何でやねんw そこは信乃だろw 読んだ当時からツッコミいれてたよw

そうこうしてる内に浜路は今まさに首をくくらんとす――――ってのを間一髪で止め!!
ここのなぁ……浜路が死のう死のうとして死ねない感じがなあ……(; _ ;) 誰だって諦めたくはないのだから…… あ、ここの「左母なり左母なり」が超絶可愛いと思う。

死のうとしてる心ばえこそ立派ヤワー けど亀篠ほんま腹立つあーオレァ何とか浜路さんを救いたかったんだけどここであなた様を助けたたぁなんたる天縁でしょーさあいくべってな網乾だけど当然浜路は拒否。他の男に(あんたなんかに)攫われるってんなら死ぬわゴルァ!(こんなに口悪くないです)どーいーてーよー!!! ってな具合。

「そう聞いちゃあ余計死なせたくねえなァ ああ? 浜路よ」
「知ってっか、お前のお袋さんはオレにお前をやるってもう何度も約束してたんだよ」
「オレだってお前のこと憎かねェぜ? こんな田舎に一人残していくにゃあ勿体無さ過ぎだぜ」
「そうさなァ、喩えるなら」

「男だらけの城に一人咲く孤高の華か煌めく玉か」
「はたまた――山ん中で一人暮らす仙女か、ってところさね」

「んまァんなこたァどうでもいいンだよ。あんたが泣いてるから、オレのこと想って涙してくれてるもんと、オレァ思ってたのによォ」
「――信乃、かよ」
「まァた信乃かよ。ケッ。ふざけんなふざけんな」
「なァ? いい加減諦めちまえよ、あんな奴のこたァ」
「じゃないと浜路」

「お前――死ぬぜ?」

嫌でもつれてくぜー! な網乾、浜路は抵抗するけど逃げ場なし、詰みだ! 泣き伏す浜路に猿轡、小脇に抱えられて(抱えられる大きさなんかい浜路はaikoか)声も上げられない態である。首吊りに使おうとしてた紐でスルスル〜と松の木のぼってトンズラでぇ〜い!!
……さてここまで書いてきて思ったこととしては、浜路は生きることを諦めはしたけど、信乃と添い遂げること、信乃の妻であり続けること、それだけはずっと諦めなかったんだなあ。ということ。
そう思ったからこそ、浜路の話が書けたところがあります。

で、そーんなことが起こってるとは知らない大塚家。準備に大忙しでもう初更の鐘もなりまして陣代来るまであと二時間(一刻)てとこですん。さっさと浜路に衣装きさせちゃるー! あー忙しい忙しい!って思ってたらばや! 浜路がいなーい! な、なんだってー!バッシャーン(花瓶割れるSE)
逃げたー!? 裏庭から脱走の跡……まあ、浜路にとっては脱走って言うか誘拐っていうか、なんですケド。信乃と逃げたんだろうと言う亀篠だけどそんな甲斐性があったらどんなに良かったか…(嘆息) 額蔵もいるからそのセンはないだろうということで。

ではクロは網乾だろう。しかし読者はご存知の通りアボの家はもぬけのからのすっからかんで、もうこりゃ犯人間違いなし。指名手配網乾! おっかけーーい! この時背介さんに「老いてるけど気合いいれよ」って言ってるのが地味にいい。あーしくったーまさか浜路と左母が出来てるたァー(ないない)
とにかく今は婚礼をどうやり過ごすかということ!! 浜路がいなくてどうすべえ…途方に暮れる大塚家である。
ここで登場したるは土太郎である。信乃水没の件で協力してたのに金が少ないすくなーいってんで文句たれに来て酒の金せびったろうとやってきた。そう書くと落語の熊さんみたいだな。天の助けとばかりに追っかけ命令を彼にも出す。勿論弾むよおだちんは。
そーいや加太郎と井太郎が籠かいてたっけ…よう見えんかったけど。ありゃあ左母と浜路か…! 小石川と本郷の方へ向かったと見える。とゆことで追っかけることに。酒あっためてまっとってナー!

はい。ここでやっと第27回前半終了。

【信乃】次あいつ出てくるよ。なんだっけ、えーと……じゃ、じゃ、じゃなんとかさん!
【道節】寂莫道人肩柳じゃボケェーッ!
【玉梓】おいおいまだ出番とちゃうぞ。
【額蔵】と言うわけで突然のゲスト! じゃなんとかさんこと道節さんです。

ゲストに出して悪いけど後半戦は一気に端折って参りましょう。文字数にして既に五千文字越えてるのよ。

寂幕道人肩柳のおうわさ。今まで読んでた人はいきなりこんな話始まって??ってなりそう。京師編の虎の話にしてもそうだが。

「左の肩尖に一塊の瘤ありけり。これによりて、その形体斜なり」

……ってあるから相当ヘンだったんじゃないかと思われますが。過去道節を描く時はこの左の瘤を忘れないようにしなきゃね。この瘤には「左は是 天行の順路」ってことで天照大神や釈迦が止宿してるんだとか。
こんな世の中さっさと死んじまう方がヨロシ、ということで(超訳)
現世に絶望した行者はしぶしぶ火定に入ることにしました。的な。ラノベ風タイトル。
土中に入るならまだしも火定とかスゲーってんでみんな集まった。やぐらとか肩柳監修で立ててるの面白い。
で、6月19日だ。あっついあっつい日で肩柳は衣装整えてよくわからん経を読んでたんだが、ギャラリーの民たちにはあっついあっつい。はよ火定入れまいやー(微妙に金沢弁)

時は満ちたり! 肩柳いよいよ火を上げてまさに! 入らんとす!
あ、この時にしたアナンダの話、なんか菟原処女(うないをとめ)の伝説を思い出した。
(ところで挿絵の肩柳が小太りのおっさんで、全然道節とは違うのがなんか面白い)
そしてここで肩柳お布施アナウンス。お前金欲しいだけだろ。

【道節】あーそうだよ! 悪かったな!
【信乃】開き直ったし……
【額蔵】まあ、池に投げるコインくらいの微々たるものでしょうけどね。
【信乃】あれってなんで投げるんだろうね…

わいが文明のジャンヌダルクやーーーーーーーッ!!!! ってばりに火に! 飛び込む!!
みんな感涙してたけど鐘の音で「諸行無常の観念も、みな今更の事に覚えて」ぞろぞろ帰ってしまうのがじつに無常でいい感じだ。ちなみにここらへん読んで思い浮かんだネタがこれ。

で、そうこうしてると時は過ぎ、網乾逃避行ナウ、な場面に。
しかし駕籠かきはゴロツキの板の井太郎、肩の加太郎(ここの名乗りが面白いのだ)
悶着つけられ、女も金もみぐるみおいてけーーとダミ声で挑発。
網乾VS井太郎加太郎! 網乾はステータスこそ高くないけど装備品の村雨が強いからつよーい! 村雨、いっきまーす♪ (c)艦これ
ちなみに、残ってた火が村雨からの水で消えたりして暗くなる。
戦闘は網乾の勝利っ そこに今度来たのは土太郎だーどたちんだー! あぼVSどた! ちょっと疲労してたけどあぼ勝利! いえい!
馬琴さま注釈。どたかたいたは豊嶋の三太郎と呼ばれる小悪人だったのであぼにやられたのはまさしく毒をもって毒を制するって言うあれですね。

村雨SUGEE… ほれぼれあぼちゃん。血のりがつかないから錆びないのね村雨。切れ味も抜群。
火定の穴の火はまだ残ってるので仄かに明るいんだろう。この戦闘の間に浜路は意識を取り戻していたのか? まあ泣いてるわけだけど。戒めをとかれた後のあぼの台詞。おめェの為に三人片付けてやったんだZ。

「なあ」
「オレはさ、お前さんのことが好きなんだよ」
「わかってくれよ」
「つれねェなァ、嬢様」

で、神宮河であったことの真相や村雨丸すり替えの件を語る。信乃がピンチに至ることを、浜路はここで知るのである。

で、ここで。

【毛野・大角】でたァーーーーーーーー!!!!
【道節】うおおおおッ!?!? こっちが出たーじゃ!?
【信乃】エッ、なになになに???? 何で毛野と大角が出てくんの!?
【伏姫】はい、サプライズゲストの毛野と大角でーす♪
【道節】何だ突然。
【大角】このネタにおいて二周目読書で見つけたら記しておこうと。
【毛野】決めてたンだよ。
【荘助】「毒をくらはば皿までねぶれ」ですか。

ここでの用例を見ると「オレも(亀篠・蟇六の)悪事に片足突っ込んでるしオレはオレの悪事をやっちゃうぜ」って感じね。
だって網乾は亀篠に渡さず自分のものにするからね、村雨を。

【大角】まっ、そういうわけです。
【毛野】オレらはこの辺で〜 あーあ、登場まで長ぇなぁ〜(とぼとぼ退場)

では脱線したので戻ります。

オレを騙した亀篠達を殺してオレも死ぬ――って感じだったけど。

「なァ浜路」
「お前、信乃が帰ってくるとでも思ってんのか?」
「あんな幼馴染程度の奴に情かけるこたァねェよ。あたら若え花を、虚花にするのはさすがに忍びねぇってもんだ」
「見ろよこの刀。噂に聞く通りだ」
「これを将軍様に献上すりゃあ、一生遊んで暮らせるぜ」
「そしたら浜路、おめェも一気にお姫様さァ、奥様奥様って何人にもかしづかれんのサ」

「オレと一緒に行こうぜ、なァ?」
「あんな奴」
「諦めちまえよ」

どうなる、次回!
(以上2013/11/24迄)

巻之三 第二十八回「仇を罵て浜路節に死す 族を認て忠与故を譚る」○
またまた間が空いてしまいまして2013年の大みそか。2013年に書いたものは年内に出してしまいます、ということで原典めも。

「諦めちまえよ」
「なァ、浜路」

初めて知る、義父母の悪だくみ。
初めて知る、信乃の危機。
――ここで死ぬなら、死んでしまえばいいわ。一度死のうと決めたもの。もう、命なんか惜しくない。
でも。でも!
信乃さまを、お救い、しなきゃ!

色々いって、網乾を油断させ、村雨丸を見せてもらう、が。

「おお、いいぜ」
「ちょうどいい、この刀に仲人してもらおうじゃねぇか、俺達のよ」
「抜いたら水気迸る不思議な刀さ。間違いねェ」

「――信乃さまの」
「かたきッ!!!!」

(雰囲気豚切るけど本当に夫の仇!なんて台詞がこの世の中にあるとは)

渾身の浜路アタック!!!
――でも、勿論と言うか何というか、全然当たらなくて、虚しい攻撃に過ぎなくて。
でも、「かよはき腕も烈女の念力、侮りがたき刀尖」
恋する力は強いのだよ、諸君!
そう、それは、左母二郎を怒らせるくらいなのだ。小刀でやり過ごされざくりと一閃!!
「あ゛っ!!」 ――髪を乱暴に掴まれて、睨みつけられて曰く、

「てめェ」
「よくもやりやがったなァ」
「こっちが下手にでりゃあつけあがりやがって」
「そンなに信乃に会いてえなら、ああ、会わせてやるよ?」
「ゆっくりと」
「地獄でなァ!」
「――――ッ!!」
「どうだよ、死にたくねェだろ? その傷も自業自得みてェなもんさ、はッ、売りもんにも出来ねェ」
「――俺がぶち犯すしかねぇなあ? 肉奴隷として生きろや? あぁ?」

……って、私はノリノリで臨場感あふれる感じでリライトしてるけど(別に臨場感はない)本文では切り株腰掛けて顎ポリポリかきながら毛抜きで毛ぇ抜いてるって、落差がすごいよw ……人を殺すことなんかどうとも思ってないんだろうねぇ。

ここからすごい。何がすごいかって浜路の恨み節。玉梓くどきが可愛く思えるほど。
バスの中でここ読んでて私は泣いてしまった。誰か中島みゆき流して!!
というわけでここはそんな生半可に訳せるものではない。是非原文で読んでみてください。
「これ将宿世の悪報か」 つらい(; _ ;)
「うたてきものはわが身世」からがもう…つら、つら。・゚・(ノД`)・゚・。 泣くよ絶対泣くからこれ

 名目だけで、一緒にはなれなかったあたしたち。
 本当の親もきょうだいも、名前さえわからない。
 あたしはひとりぼっちなの。
 ひとりで生まれて捨てられて、ひとりで死んでいくの。

「冥土も同じ独行(ひとりたび)」
って、「も」ってことは、生きてる時もひとりだったってことじゃん…(´;ω;`)

 おねがい。この魂よ。
 どうか。信乃さまの元に届いて。
 届いてよ。

(あたし)
(やっぱり死にたくない)
(信乃さまに)
(あいたい……!!)

「よに惜しからぬ命すら惜しむは恩愛節義のため」って、つまりはそういうことだと思うの。

でも――もう。

 時間だよ。チクタク。
 おわかれの時間だよ。チクタク。
 神様は助けてくれないよ。神様は、この世界にはいないよ。
 こんな、呪われた世界に、優しい神様はいないよ。

“助くる神もなき世か”で、誰思い出すかって、五十子ですよね……。
なんかさーこう書いてるとさー、馬琴さまは何を思ってこう書いてたんだろうね。
あたし的には、馬琴さまは浜路に愛情持って書いてたと思うけど、なんなんだろうね……そんなこと言ったら鏡花もだけどさ。
死んでいくことこそが美しいと思っていたのだろうか。
現代のあたしから言わせてもらえば、そんなの。くそくらえだ。

んで、こういう浜路の涙ながらのくどきにまさしく悪キャラの左母ティは欠伸なんかしてるの。殺!!

「あぁあぁ。長ぇ戯言を、ようやるよ」
「何が孝だ。何が貞女だ。そんなくっだらねェ徳なんざ、クソの足しにもなりゃしねェよ」
「信乃の為に生きてェだ? よくもそんなことほざけたもんだなァ。
 遅かれ早かれてめェは死ぬぜ。それを、よう長々と無駄口叩けたもんだ。見上げるぜオイ」
「殺してやるよ? せめてもの褒美に」
「おめェの大好きな、信乃さまのこの村雨でなァ!」

 鬼畜……過ぎる!!

「観念しな」
「――たとえ」
「たとえ、仇の手にかかっても」
「信乃さまの刀で殺されるなら――本望だわ!」

 だって。あたしはあの夜に言ったもの。
 殺して、と。連れていって、くれないのなら。

「あなたも――
 あなたも近いうちに、死んでしまうんだから!」

 ――何の力もない、あたしの絶叫。
 それは、呪い。

「しゃらくせえ! 息の根とめたらァ!!」

そう奴が叫んだ時。

「――ッあ゛ッ!?」

ざくり、と。
あいつの胸に、銀の刃が突き刺さってた。

シリアスパート終わり。はしょるよ! いくよ!

おまたせしました、第三の犬士が登場だよ!
【信乃】なんか新しいプリキュアが登場するよ〜みたいな感じ。
【額蔵】そうそう、シルエットなんですよね。

穴のほとり(ほとり?)より忽然と現れたるは、誰だッ誰だッ誰だーーっ!
【伏姫】ゲストならぬ第三のサブパーソナリティ! 犬山〜〜道節ゥ〜〜!
【道松】うおっ伏姫テンション高え…あとこの頃俺様はまだ道松だ。
【信乃】ミッチーミッチー
【道松】うっせー。
【玉梓】原文ではまだ寂莫道人肩柳じゃがの。
そうなんです。でも“初めに異なるそが形容”ってことなので、変身しちゃってる?(特撮脳)

さて続き。その志望(こころざま)善か悪かってカッコイイね…アウトローだね…ディケイドだね(なんでやねん)
公式イケメン描写うまいです。
道節冷静かっこいい。網乾のことなんかフーンみたいな感じで取り合わなくて、後半の直情径行は何なのかと思いたくなる。浜路を喪ったから? なんてのは妄想が過ぎるね。
さっと村雨奪ってしゅばっ!と斬る! 網乾倒れる。この時のクールさ、逆にあれだ、実は激おこファイナリスティックプンプンドリーム状態で静かなる怒りというやつなのかもしれん。

村雨をじっと見て。
「復讐の」
「――時が来たのか」
惚れ惚れ、って感じ。
あっ、これあれだ。仮面ライダーWで照井がシュラウドからアクセルドライバー貰ったのとリンクする!(W脳やめい)

一方その頃、額蔵は――!
朝に信乃と別れたけども、心配なのと暑いのとあってあんまり道進んでおらず。本郷→小石川コースで行こう、偽傷つくるにしても遅れた方がリアリティあるし。東京の地理はよくわからんので実際だとどんな感じなんだろ。
で、円塚山を経由するルートで行きます。ライブ――じゃない(あのねた)火定があったとかでまだ火ィ残ってるわーって通ってたら突然の血塗れの男女死体! びびるわ。ひぐらしか。いや確かに6月19日だけど。
そんで、刀持ってる男がいて――

【信乃】これは……
【玉梓】どう見ても道節が下手人と思うわな…
【道松】俺じゃねえよ!?
【伏姫】普段から疑われるようなことしてるから悪いんですのよ。詐欺とか詐欺とか詐欺とか。
【道松】違うっつーに!
【額蔵】浜路さまの仇ィィィーッ!!!
【道松】THE八犬伝かァッ!
【信乃】でもだいたいあってるよね。
【道松】またそれか!
【伏姫】この様子をほぼそのままねたにしたのがこちらでえす♪

閑話休題、と。
「……女。女よ」
肩柳は浜路を抱き起こす。自分が今から言うことを聞いてから死ね、と(超訳)
「……あなたは、誰、です、か……」
「――誰もおるまい。名乗っても構わんだろう」
「俺は犬山道松忠与」
「――お前の、腹違いの兄だ」

以下、道節もとい肩柳もとい道松の語り。どうでもいいけど、「愚民」ての見る度道節に「この愚民が!」って罵って欲しい衝動に駆られる。似合わん。いくぜ野郎ども!の方が似合ってる。
肩柳になって火定してそのライブの収益から(違)父と練馬家の仇を討とうと思ったのだ。道策パパは主君と共に死んじゃったので。
くみするに値する敵がおらず、一人戦場を抜けた道節は復讐を企てる。犬山家に伝わる秘術・陰形五遁の第二の法、いわゆる火遁の術ってやつで……ここでちょっと陰形五遁の説明。
はしょる。全力で。

【道松】せ、せっかくの俺様の講義がー!
【信乃】関係ないとこは全力ではしょんないと八犬伝なんか読み終われないよ!
【道松】さりげなくひどいな!?

……ちょっと思ったんだが道節ってメラメラの実を食べたエース的なものを感じる。お兄ちゃんだし火遁だし。ああ、ワンピもう何十巻も積読してるなあ…(トオイメ しかし、ライダーハマってる今読んでみるとこの陰形五遁、ウィザードの魔法としか思えんよね…いや、ウィザードはあれ四大元素なんだけどね。
十五歳の時、道節がその書を読んで三年かけてマスターしたらしいが、
なんかこう、陰気なオタク少年を思わせる感じがたまらんね(何となく誤解を招きそう)

【道松】オタクて……
【信乃】やー伏姫屋敷さんの勘ぐり読んでたら何となく。

扇谷うつべし!と思いながらも孤立無援。ゼニや! 昔からゼニで買えへんもんはないんや! ってことで火定ショーでお金巻きあげてきたけどこれ忠孝っぽいけど賊じゃね? じゃね? 気付くのが遅い辺りが道節クオリティである(酷)
こういうことしてたのがバレるとなるとマズい。てかこんなことしてる俺バカじゃね? じゃね? 今頃気付いたのかよ(酷) 黒歴史の清算はお早めに(違)

「俺一人でも――定正を、討つ」

そう決めた。そんな彼が遭遇したのが、網乾と浜路で……
そして、浜路の生い立ちも語るのである。

(大塚……村長の養女……間違いない)
(俺の――)
(――妹)

「……救うのが遅くなって、すまなかった
「……お前は立派だよ、正月。……いや、浜路」
「ひどい養い親に育てられながら、夫を想い、実の家族を想った」
「……本当にすまない」

せめて。この時に兄と妹が巡り会ったことが、神の慈悲であれば。

浜路の母の過去、について。阿是非と道策と黒白と。
ここで注目したいのが、道策は「男子を産んだ方を妻にする」と“戯れ”に言ったのだ。これは、八房と義実の会話に通じるものを感じる読者さんはおそらく多いと思われる。
結果として阿是非は殺され、道節は一度死に、浜路は追放され不幸の末に死ぬ。このスパイラルがちょっとした一言にたんを発していると考えると、言葉とは何と恐ろしいものかと痛感するのである。そんなわけで、道策パパにははらわた煮えくりかえる想いでもあったりする。どーして男はこうなの! あーむかつくむかつく。おこおこ。
阿是非は長禄三年九月に道節を産み、そのずっと後(ってほどでもないけど)に黒白は浜路(正月)を産む。しかし既に正妻のポストは埋まっているわけで。この黒白の「気色にはあらはさず」が怖いわ。女子コエーわ。殺しちゃうもんね。
「六日の菖蒲、十日の菊」と言われる浜路よ……男子だったらこうは思われなかったんだろうか…と思おうと(´・ ・`)
黒白、道策のいない隙をついて医者と手を組み、阿是非を毒殺し道節を絞殺! ひいい怖いよう、レディコミの世界だよう(違)
道策も凶夢とか見たりしてんだなあ。不安に駆られて急いで帰宅すれば妻と子供は死んでるし。だが子供は生きていたのだー!のだー!ちょっと飴買い幽霊とか思い出したりする。んでこの時に痣が出来たのだった。
道松と共に帰り奉公人らを集めた時、道松がシャベッタァァァ!! そう、黒白の悪事を明らかにしたのである! 医者の方も捕えられて証言と一致してるので断罪タイムである。
しかし道策の怒りは収まらず浜路を追放することに。
「二歳の女子なれどもその母大逆無道也。
 絶てわが子とすべからず」
……(´; ;`)

これが三浦綾子の氷点だったら引き取られてたよね。「汝の敵を愛せよ」
……って何気なく書いたけど、わたしの八愛って、この「汝の敵を愛せよ」精神に近いような気がしないでもない。
それとね、ここらへんを読んでて、本当に自分の無力さを……書くことしか出来ない無力さを痛感する。本当に、涙ぐむくらい。
よく思う。八犬伝自体が、馬琴さまのしかけた呪いであるのだと。
浜路はどこまでいっても、この事実から逃れる事は出来ない。彼女の始まりも終わりも、闇が覆っている。

 金色に千切れる雲は
 あなたの吐き出す怒りの色
 遙かな山影 遠ざかる
 闇はわたしの心のすみか

谷山浩子さんのこの曲「犬を捨てにいく」で伏姫の絵を描いたけど、タイトルと言い、この歌詞と言い、むしろ浜路の曲だったのかもしれない。
大体さ、でもさ、最初道策の側室だったのは黒白の方なんだよね。そらあ、黒白の怒り、恨みも尤もかなあ、って。女って怖い。

「……このことは、俺が十二の頃、母上の七回忌の時に教えてもらったことだ」
「六つの頃に俺がそんなことをしたなんてことは全く覚えちゃいなかった。母上がそうして死んだことも、妹のことも、初めて知った」

……と言うけど四つの頃に妹がいたっていうのは記憶に残っててもおかしくないんじゃないかな。
この辺りはちょいと改変して八愛道節編書こうかな? と思います。でもどうしようかな。未定中の未定。
母と母とは怨敵同士で、父上がとうの昔に捨ててしまった妹。会うことはないだろう……と主るていたのに、巡るめぐる、めぐる因果は、いーとーぐーるーまー、っと。
ひどい親(産みも育ても)だったにも関わらず貞実にして孝順。でもこうして憎い男の刃にかかってしまうのは何と言うか…親の因果を背負わされて……浜路(´;ω;`)
そんなの、知ったこっちゃないよう。゚(゚´Д`゚)゚。 ……浜路は浜路なのにね。勿論、こう考えるのは私が現代の人間だからであるけど、そしてこう当たり前に考えられるようになるまで、どれくらいの人の努力と血と涙が必要だったのだろう……。
つらい。一言で片づけることが厭わしいくらい、つらい。
今生は儚く終わったけど、来世は仏果を得るだろう。そう言うけれど、浜路の来世はどこだったのだろう……。
この浜路の孝心を伝えたくても父・道策は既に没している。道策は阿是非が死んでから入道する。しかして先の戦で竈門三宝平に討たれておるとのこと。
「かかれば〜」のところって、「俺の復習が成功しようがしまいが、(道節自身)長くはない命だ。先に行ってろ、浜路。冥土で父上に会わせてやる」っていう訳でいいんかな。
……道節は復讐が終わったら死ぬつもりでいたのかな。

さて時刻はまもなく零時と言う頃であった。なんつー遅い時間よ。
私は、今でも道節のことを変わらず酷い奴と思っているけど、「ねんごろに説き示しつ、又いたわりつ」ってところを読むと、あながち、そうでもないのかな……と言う気になる。
この28回の下書きを書いてる時、浜路の話である「愛することしか出来ない」を鋭意執筆中でしたが、連動して道節の話も沸き起こりつつあった。八犬伝の女性への関心が高いことを自分でも自覚しているし、やはり道節、ならびに荘助、信乃は、浜路と言う一人の女を巡る男達として、物語が組めるように感じる。信乃は、芳流閣で一編作ったけど。

第28回はこの辺で。次回以降はもっと短く! していきたいです。じっくり読める暇もないしね。
(以上2013/12/31迄)

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