毒を食らわば皿まで。 突然の大字。

(毒を食う以上は、その皿までもなめてしまおうの意で)
一度罪を犯した以上は、ためらわずに最後まで悪に徹しようとすることを言う。
また、いったん面倒なことに関わってしまったからには、最後まで関わり抜く。(広辞苑第五版より)
と言う意味の慣用句である。

この慣用句、先日VHSで観劇した「ショーGEKI大魔王 八犬伝」において
「八犬伝で初めて出てきた」と言う台詞が出てきたのである。
「毒を食らわば皿まで 出典」でググると、Y!知恵袋やBG相談室的なところで八犬伝が出典と答えている人がいらっしゃるが。
(ちなみに「毒を食らわば皿まで 初出」でググると私のツイートが一番上にくる)

【大角】本当にそうなのだろうか、と。
【毛野】ん。ソースないものは信用出来兼ねるな。
【大角】気になって日国大(日本国語大辞典)を引いてみたんです。
【現八】なになに?? 何の話だ??
【大角】おや現八さんいいところに。ふむ、どうせなら臨時授業としましょう。

日国大によると、初出と思われるものは
歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)四
「幾人殺しても、捨る命はたった一つ」
「やっぱりお前は」
「毒喰は皿」
……という台詞回しかららしい。1789。八犬伝刊行は1814年なので、当然八犬伝以前である。
でも台詞にとられるくらいだからそれなりに浸透していた慣用句だったのかな?
ちなみにその次の用例で挙げられるのは逍遥の当世書生気質(1885-86年)で既に明治。
「毒くはば皿までじゃ。行かう行かう」
江戸時代の用例は初出の歌舞伎で済ませちゃったのかしら…
肝心の八犬伝で出てくるところは…ちょっとわからぬ。ま、まあ二周目で! 出てきたら! 追記する!

【大角】と言うことです♪ 何事も疑問の心を持って辞書や文献にあたらなければいけませんね♪
【毛野】ソースのねえ情報はデマ拡散のもとにもなるしな。
【現八】ふうーん……

(トリビアといえば「合い言葉は勇気」で礼の人を演じたのは八嶋さんだったな…)

【大角】えー、こほん。
【大角】毒、とあるように、この言葉は「悪いこと」を対象に用いられるべき慣用句です。
【大角】ですが、言葉は常に人の世と共に生きてその形や意味を変えていくナマモノです。この慣用句が、善いこと悪いことの区別なく、単に「最後までやる」と言う意味に取られてしまい、そしてそれが受け入れられる可能性もまた否定出来ません。
【毛野】ふむ?
【大角】やり遂げる、ということは尊いものです。どんなに面白くても、未完の作品より完結している作品の方が価値は大きい。
【毛野】それ未完とか打ち切りが多い八犬伝ものに対する皮肉?
【現八】書きかけの長編を放置してる中の人の自虐?
【大角】だまらっしゃい! いいですか、こう言うことを言いたいのですよ。


【大角】……それは。
【毛野】……その心は……。
【大角】八犬伝を……そう。





【毛野】(忍術! 瞬間早着替え!)……ってこれじゃ八犬伝が「悪いこと」みたいじゃねーか。
【大角】日本近代文学の呪いで長いこと低評価が続いてましたし、ある意味「悪」書ですよ。
【現八】ぶっちゃけた話すると中身も毒だらけだぜ! 悪はびこってるぜ! 呪いからスタートだぜ!
【大角】それを浄化するのが私達、今会える若武者、幕末ヒーロー、さとみはっけんし〜 (※室町幕府末)
【現八】ぜーーーっと!
【大角】じゃないですか〜。も〜毛野さんもわかってらっしゃるくせに〜。
【毛野】わかったから変にももクロパロるのやめよう??



おそまつさまでした。
二次作品界隈がもりあがると原典の方に少しは人流れて来てくれないかなって… そんなわけで宣伝でした。
しかし早く抄訳や二次作品を紹介するぺえじをこさえないとだわっ…
例2だけ信乃描いたけど大角さん描けばよかった。

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