2015.04.01
今年もやってきました八犬士春の一大事。
今回は企画じゃないぞ。ちゃんとしたねただぞ。
すご~く久々に、たくさんカットを描きました。
長いねたなのでこれでしばらく更新しなくてもいいな(慢心)
結構前から頭にあったものなのですが、時期的に今日しかないざんしょーということで。
ええ、今日。今日ですよ。
文字六割、いらすと四割くらいのねたです。



【親兵衛】おーい孝嗣くん、こっちこっちー!
【孝嗣】親兵衛殿、聞こえております見えております。

 私は政木大全孝嗣。
 ひょんなことから里見家が誇る勇士・八犬士が一人、犬江親兵衛殿と知り合い、
 いろいろありまして里見家に仕官しております。
 本日はしかし、私の里見家での日常をお送りするわけではございません。
 実は、大変なことが起きているのだそうです……。

【孝嗣】昨日も……被害者が出たようですね。
【親兵衛】うん……はちにいが、ね。
【親兵衛】……信じられないよね。
【親兵衛】……死んじゃう、なんて、さ。



【親兵衛】けのにいーっ、孝嗣くん連れてきたよーっ
【孝嗣】どうも、ご無沙汰しております。犬坂殿。

【孝嗣】今回は現八さんが……。
【毛野】……ありえねえよな。あのバカ死んでも死なないと思ってたのに。
【毛野】あっけないよな。高所から落ちただけでポックリだ。
【毛野】……芳流閣の英雄じゃなかったのかよ。
【孝嗣】あの人が自殺……なんてするわけないですよね。
【毛野】ああ。これは故意に落とされた……と見て間違いない。
【孝嗣】とりあえず……今までの資料を見せて頂けますか。



 第一の被害者、犬山道節殿。
 頸動脈を鋭利な刃物で突かれ死亡。

 第二の被害者、犬塚信乃殿。
 首を絞められ死亡。
 皮肉なことに、凶器となった帯は悲劇の果てに命を堕とした
 かつての許嫁、浜路殿から贈られたものとのこと。

 第三の被害者、犬村大角殿。
 腹を刃物で突かれ死亡。
 この殺害は、犬村殿の亡き先妻・雛衣殿を見立てているようで不吉だ。

 第四の被害者、犬飼現八殿。
 高所の崖から転落死。犬坂殿の言うように、何者かに突き落とされた可能性が圧倒的。
 名高い芳流閣の戦いの時は一命を取り留めていたと言うのに……。


【親兵衛】節にいだけコメントなし?
【孝嗣】えっ。……そこを突かれるとは。
【???】死んでしまうとは何事だー! 犬山道節!
【孝嗣】! こ、このテンプルにカチンとくる声は。
【助友】見損なったぞ! それでも僕のライバルか!?
【孝嗣】やはりあなたでしたか巨田殿。
【助友】やあやあ河鯉殿! じゃなくて政木殿。
【助友】いやあ僕達、同じ扇谷方にいたからって、何故か脳内で一緒にされてるよね。
【孝嗣】……原典では接触皆無のはずでしたが(ちゃんと確認してないからわからん)
【助友】皆無でも妄想しちゃうのがフジョシって奴じゃあないか! ここの中の人もしかりだ! たぶん!
【孝嗣】そういうことマイナー沼の人に言うとまず間違いなくころされると思うんで背後に気を付けてください。
【助友】ころされ……くそっ、犬山道節めっ。
【助友】お前は……お前は僕が殺すはずだったのに……くうっ!
【親兵衛】わーほもくさいせりふだー。
【助友】僕のライバルで、いっ、いちばんのっ、友達だったんだぁっ、うっうっ!
【孝嗣】よしよし、友達いなかったんですよね。
【助友】犬江親兵衛しか友達のいない君に言われたくない。
【孝嗣】言いましたね……?
【親兵衛】もー孝嗣君も助友君もつまんないことでけんかしないでよー
【毛野】おっ、おい! 大変だ!
【親兵衛】けのにい……ま、まさかっ!
【毛野】……荘助が……池で……。


【孝嗣】なんで犬神家なんですか。
【親兵衛】最近荘にいこういう役ばっかりな気がするよ。
【助友】溺死、か。残念だが……これで残る犬士は……。
【親兵衛】ボクと小文吾おいちゃんと……。
【毛野】オレだけ……だな。

【親兵衛】戦いが終わって平和になってから段々伏姫の加護の力が弱まって……
【親兵衛】ボクらはただの、ヒトになったんだ。
【親兵衛】知らなかったよ……。
【親兵衛】こんなに簡単に……ヒトは死ぬんだね……
【孝嗣】……。
【孝嗣】大丈夫ですよ。まだ犬田殿も犬坂殿もいるじゃないですか。私もいます。
【助友】僕もいるゾウ!
【孝嗣】犬坂殿の頭脳があるんですよ。この連続殺人の犯人は必ずお縄になります。
【小文吾】そうじゃぞ親兵衛。
【親兵衛】おいちゃん!
【小文吾】毛野さんがきっと解決してくれる。わしは信じとるからな。
【小文吾】なあ、毛野さん。
【毛野】……。
【毛野】ああ。きっと必ず。


 しかし……














【孝嗣】……!!!
【毛野】オレがここに来た時には……もう。
【助友】撲殺による死亡。……凶器は親兵衛くんの鉄扇かい。
【孝嗣】(……親兵衛殿)
【孝嗣】(……うん)
【孝嗣】巨田殿、行きましょう。
【助友】? 政木殿?
【毛野】孝嗣……?
【孝嗣】犬坂殿。私も独自に調査をしたいと思います。
【孝嗣】親兵衛殿の仇を……取りたいんです。
【助友】犬江親兵衛しか友達がいないもんねえ。
【孝嗣】当たり前です。……彼くらい大事な友人は他にいません。
【孝嗣】あなたもそうでしょう。巨田薪六郎助友。
【孝嗣】犬山道節ほどの友人など、ほかにいない。
【孝嗣】違いますか。
【助友】……。
【助友】ははっ、冗談! 僕は富士山の上でおにぎりを食べる友達が百人以上いるよ!
【孝嗣】そうでしたか、では。
【助友】でも? 僕の心は海より深く山より高い。
【助友】単なる1814番目の友達に過ぎない犬山道節にも、誠心誠意をたっぷり尽くすくらい僕は器の広い男さ。
【助友】無残に散った哀れな犬山道節の為に、この巨田薪六郎助友のいいところ、見せちゃおうじゃないか!
【孝嗣】……それでは、行きましょう。
【助友】合点承知だよ!

【小文吾】こりゃ頼もしいのう。
【毛野】……。
【小文吾】毛野さんも、一人で出歩かん方がええ。
【小文吾】次に狙われるのは……毛野さんかもしれんからの。
【毛野】……オレは……オレは大丈夫だよ。
【毛野】それより小文吾こそ、気を付けろよな。
【毛野】……絶対、守ってみせるから。

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