祖父の遺した廃屋。
一匹の老猫が時を止めて住む、終わってしまった場所。
そこに現れた少女は、自らを魔法使いと言った。
「早く帰らないと旦那が心配するぞ」
少女は少女ではなく、人の妻。
「健三さん、最近研究所からの帰りが遅いの。
何か、困ったことに巻き込まれてないといいんだけど……」
しかし彼女の願いは無数の羊に姿を変え、引き裂かれてしまう。
少年は少女を守るために――悲しませないために魔法を、解き放つ。
認識的な世界に散らばった魔法はやがて二人の前に現れ、物語を紡ぎ出す。
二人。
春から高校一年生の普通の少年、牛込三四郎。
そして、魔法使いにして人の妻、夏目坂美禰子。
二人の間に、恋は、禁断は――
セツナマジカルロマンチックラブコメディ
「吾輩は魔法使い」すこぶる構想中。
迷子を何て言うか知ってる?
――ストレイシープ。