をとめの頃を過ぎても
うららかな陽光。少し埃っぽい空気の中、道路をはしゃぐように駆ける。
学校までの坂道にはたくさんの桜が並んでいる。
まるで雨のように桜の花びらが降りしきる中、私は目をらんらんと輝かせながら走った。小鳥たちのさえずり。穏やかで暖かな風。見上げれば桜の天蓋。目指す先にあるのは私の学校。
少し立ち止まって、ゆっくり深呼吸。空気も桜色って感じがする。ああ、春だなあ。
うーん。
今朝は、特別気持ちいい。
こういう日はきっと、素晴らしい出逢いのある一日になる!
高校三年間を一緒に歩んでくれる素敵な恋人と出逢える日に――
うん!
絶対に今日、私は運命の恋をする!
背伸びをして私は、桜の枝の隙間から見え隠れする太陽にそう誓った。
「残念ながら」
「?」
謎の声が聞こえたあと、突然私は闇に飲まれた。
停電? でもここは外。なのに、真っ暗。太陽も空も、何もない。
本当に、冗談じゃなく何も見えない。
桜も道路も私の手もローファーも真新しい制服のスカートも髪の毛の先も何もかも。
「あなた、もう死んでますよ」
また謎の声が――って。
もう、死んでる?
誰が? 私が?
え?
ええ?
「えええええええええ!」