強過ぎる光にスピカは目を閉じる。そして開いた。まだ光は強い。しかし、ここがもう火の島でないことは、空気や匂いや温度でわかった。

 スピカはプリンセスパレスに立っている。

 カーレンも、李白も花火も与一も、チルチルもニコも太望も、シュリも双助も信乃も、そしてオーレも――立っている。
 かつて自分の魂がはじき出された場所に戻ってきた。

 中心に黄色い光が、やがて集まる。
 一つの光が頭となる。二つの光が腕になる。光は胴体を形造っていく。
 ぱっと、光は爆発したかのように消えた。


 少女が現れる。


 女にしては短く、ところどころ撥ねた黒い髪。白い肌に桃色の頬、光と同じ、黄色の衣。
 閉じた目の瞼がゆっくりゆっくり、開かれた。
 零れてくる光を捉え、閉じ込めたような、優しく強い、姫の瞳だった。


 陽姫が――甦った。


 彼女の名を口にしようとしても、彼女が統べる黄の光がどうにも神々しい。全員を震えさせる。玉梓とは違うが――どこか、同じように。
 陽姫は微笑んだ。


「みんな――おはよう」




 こうして、三十年ぶりに太陽は確かに里見に帰って来たのであった。


     6
黄の章(下)第一話に続く
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