目を開く。
 青い、青い、宇宙まで突き抜けていくような空が、スピカの青い瞳に映る。


 耳を澄ます。
 風の音のような、鼓動のような、そしてどこか安心できる音がした。
 それは、母なる海の波の音。


 上体を起こす。
 スピカの眼前には、自分の肌のように白い砂浜が広がっていた。


「ここは――」
 立ち上がる。


 一度、訪れたことがある。この人気のない浜辺に。そして誰かと出逢った。誰かと。


 カーレンと。


 スピカは振り返る。カーレンがいた。横顔はスピカの方に向いている。
 気がつくと、オーレが彼女の背後に立っている。太望、花火、李白が上体を起こす。あとの六人はどこに行ったのか。

 カーレンは何を見ている。
 スピカの、眼球が動く。


 黒くて長い髪。病的に白い肌。
 そして血のように赤い目。


「お――姉ちゃん」


 カーレンの中の何かが、崩れていくような声だった。




    5
黄の章(上)第四話に続く
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