新生児の家を見舞い、カーレン達は再び家に引き返してる。

「すごい小さかったな」
「赤ちゃんはみんなそうだよ」
「真っ赤な肌だから赤ん坊なんだろう」
「そうそう。ん? あれ? そうなのかな?」

 スピカとカーレンはそんな感想をもらしながら前方を歩く。
 ざざあっと、さざ波の音が一際大きく聞こえた時、カーレンは立ち止まった。横を歩くスピカもおっと、と立ち止まる。何だと思い彼女の顔をちらりと見た。カーレンは、どこか体が痒いのか、それとも何かを感じているのか、むずむずとした顔をしていて、スピカは何があったかわからない。


「お姉ちゃんがきたっ!」


 と叫んで、カーレンは逆方向に走り出し、ハーツが一喝した。

「おやめカーレン! あの子にあってはならないと何度言ったらわかるんだい」

 しかし、珍しいことにカーレンは言葉を無視し、見知らぬ目的地に駆けてゆく。
 スピカも思わず走り出し、

「面白そう。ハーツさん、僕がついてきますから先にシリウスさんとお戻りください」

 とオーレも続いた。


 ハーツはため息をついて隣のシリウスを見上げると、シリウスは何かを感じ取って、非常に――三十年前に宿敵と対峙した時のような――険しい顔をしていた。
 ハーツはその顔と自分の感じていることを総合的に考え、何かを思い至ったように再び息をついた。

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