「私は、玉梓の呪いで、いろんな所で苦しんでる人達も、できることなら救いたいよ。

 そして、死があるなら、生まれてくる命もあること。
 そこから生まれる喜びもあることを、私はこの島以外にも、伝えたいから」


 そしてカーレンはスピカの手を強く握る。
 数日前、二人が出逢った時に、カーレンがスピカを連れ出したように。




 世界を、動かしたように。




「ねっ。いこう、スーちゃん」


 カーレンは笑った。
 二人のてのひらに、あたたかい何かが、走る。



 スピカは一人、思う。――自分があの時、カーレンに出逢えていたなら。



 僕は、
 僕は今のように泣けただろうか。

 一緒に死なせて。

 そうじゃなくて。

 生きていくと。
 生きていきたいと。



 カーレンがゆっくりスピカを抱きしめる。



 スピカはこの時初めて、人の前で泣いた気がした。

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