――ひとりじゃない。だから、絶対に諦めない!――
曲亭馬琴「南総里見八犬伝」原作 連作短編で贈る、おきあたまき版南総里見八犬伝

08/31 「愛することしか出来ない」を掲載しました。浜路のお話です。

T O R Y
「生きたい」と言う願いがありながら、言葉を反故にされ処刑された玉梓は神の力を持ち
里見を祟る怨霊となるが、同じく「生きたい」と言う願いを持った里見の姫にして、やはり同じく
神の力を得た伏姫は「自分の子供達がわたし達に代わって生きて戦うのだ」と彼女に約束する。
仁義八行の珠と牡丹の痣を持つ、後に八犬士と呼ばれる、伏姫の魂の子供達である彼ら。
この呪われた世界で、彼らはそれぞれに不幸を経験し、絶望に涙する。だが――
「ひとりじゃない」「だから、絶対に諦めない!」
――これは、生きることを絶対に諦めない八人の犬の子と、彼らを見つめる二人の母親の物語。


○連作短編です。それぞれの話はそれ自体で完結しています。
●その為どのお話から読んでも構いませんが、「最後の希望の物語」がプロローグになっています。
○古典作品・曲亭馬琴著「南総里見八犬伝」について簡単な解説・あらすじ等はこちらをご参照ください

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最後の希望の物語
(原典第六回・第十三回)

(12/10/08 初出)
(13/06/08 全面改稿)

 安房国滝田の城、その権力の頂にいた稀代の傾城・玉梓。
 国や臣下、民達の災厄も顧みず、女の弱さを嫌い、
 ただ「生きる為」に自らの美貌や弱さを利用した彼女。
 しかし、仁義の元に裁かれる時が来た――
 「私には、本当は何の力も無いのだ」
 けれども、彼女はやはり、“生きたい”と願った。
 彼女の“本当の願い”は、叶うかと思われた――

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月が見ている 月を見ている
(原典第八十二回)

(12/10/19 初出)
 
 犬田小文吾と再会し、犬川荘助と出逢った智の犬士・犬坂毛野。
 初めて知る里見家と自分との因縁に戸惑いを覚えながら、犬士と言う
 「仲間」であり「兄弟」でもある存在に暖かなものを感じてもいた。
 だが、彼にはまだ仇討ちと言う目的があった。
 そんな中、彼らと床を並べて見た夢の中で、毛野が出逢ったのは――

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私の最愛のご主人様
(原典第六十六回)

(12/11/13 初出)
 “ねえ角太郎様”
 “もう苦しまなくていいの。もう泣かなくていいの”
 礼の犬士・犬村角太郎の妻である雛衣。
 彼女は夫の急難を救う為、自ら腹に刃を立て命をなげうった。
 そんな彼女が死と生の狭間で出逢った存在は――

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蒼天に吠える獅子
(原典第三十回・第二十一回)

(12/12/13 初出)
 偽の村雨丸を献上してしまったが故に士卒達に襲われた
 孝の犬士・犬塚信乃は芳流閣上にその身を呆然とさせていた。
 “諦めていたんだ。最初からずっと”
 絶望が彼を襲い、死んで全てを終わりにしようと決めた時、
 孝の珠の白光が彼に八房の梅を、義兄弟たる額蔵を、
 そして許婚の姿を思い出させた――

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蒼天を駆ける獅子
(原典第三十回・第三十二回
第五十九回)

(13/01/20 初出)
 どことも知れぬ闇の中で、信の犬士・犬飼現八は
 己の身の上話から始まり、芳流閣の戦いに至るまでを語る。
 深い闇に沈む牢屋に囚われ、彼は死を決意していた――
 “俺だって、諦めてたんだよ”
 “本当は、ずっと前に”
 しかし、現八の中から問うてくる声に、彼は――

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彼女のはじまりの物語
前編 後編
(原典第一回 〜 第十三回)

(13/06/08,29 初出)
 父の言葉を真にせんべく、犬の八房と共に里見を捨てた里見の姫・伏姫。 読経に明け暮れる反面、自分の使命を想い続け悩み、
 また母や故郷を想い、そして己の不幸に泣き続けてもいた。
 そんな彼女に“善果”だと懐妊を告げる神童の言葉に
 絶望した伏姫はいよいよ死を覚悟するが――
 “どうして? どこで間違いが起こってしまったの?”
 彼女の“本当の願い”を叫んだ時、怨霊が現れるとともに
 役行者の数珠の八玉が輝き出し、伏姫は“すべてのはじまり”である
 “彼女のはじまり”を目撃する。
 そこで、彼女は何を想い、どうするのか――

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愛することしか出来ない new!
(原典第十七回・第二十二回
第二十五回 〜 第二十九回)

(13/08/31 初出)
 “あなたを愛することしか出来ない”
 “けれど、過去の誰よりも、未来の誰よりもあなたを愛してる”
 孝の犬士・信乃の許婚・浜路。彼女は今まさに死なんとしていた。
 捨て去っていく信乃。襲いかかる不幸。そして出自の真相。
 絶望と失望だけが形作る、存在を許されない、呪われた自分――
 しかし死と生の狭間で、犬に騎乗する神なる女は手を伸ばす。
 “思い出して、浜路”
 “あなたの熱い想いを、輝きを。あなたの願いを”
 そして追憶の中、青空の下で少女はその愛を見る。
 自らを自らたらしめる、ゆるぎない愛と存在を。

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「南総里見八犬伝」のファンページはこちらから。原典読書メモ・関連作品紹介や
イラスト、ネタ・らくがき等、いろいろあります。
(シリアスなこちらとはかなり違うおばかなページです)

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