るい智プレイし終わったら、サト8と絡めて八犬伝作品における「呪い」について考えてみようと思ってたんだけど、
まずその前に八犬伝世界のいわゆる「玉梓の怨霊の呪い」ってどーなってんの? と思ったんですよ。
この、やたら二次作品で物語を動かすきっかけとして多用されるコレですよ。

丁寧に原典追っていくと、第13回に至るまでに、正確には第12回の神童の託宣を受ける頃にはもうとっくに
八房に宿った玉梓の怨念と言うのは伏姫のありがた〜いお経によって浄化されているわけで、
そしてその浄化の言わば結果、くだけて言うならご褒美として伏姫は八犬士をお腹に宿していたのであるのですね。
そして第13回、川の向こう側へ渡らせないよう深く立ちこめていた霧が消え去ったことを
馬琴さまはわざわざ挿絵で示しております。
この挿絵にいるのは神變大菩薩こと、八犬伝世界のデウスエクスマキナ、チートな神様・役行者と
そして実にやすらか〜な顔をした「たまつさ」
そう玉梓。ここにきてようやく玉梓は死後初めて「怨霊」と言う肩書が取れているのです。
やったね玉梓! 成仏出来たね! ここにかかってた霧は君の煩悩の、そう、恨みと言う名の霧だったんだよ!
それが伏姫の献身的な読経のお蔭でサァーッと晴らすことが出来たんだよ! よかったね、よかったね〜!!


……というのが私の解釈ではあるのだけど。
ここで玉梓の呪いが解けているんなら後世の八犬伝作品、あるいは二次作品等で
呪いだのなんだの言われなくてはいけないのは非常に理不尽である。
いやまあね、ウン、犬士達に襲いかかる七転八倒無理難題問答無用な運命っていうのは
確かに呪いとか怨念とかそういうのに結びつけてしまうのがラク……というか
絶対何かどこかに理由はある! と思われてしまうよねえ。
そこで玉梓と言う、ちょうどいい、都合のいい存在がいたわけであるよ。
なんかこう なんかこう、むなしい。
私の連作短編「八匹の犬より愛をこめて」ではそう言う短絡的なのはナシにしようというか、
そこに理由づけるのは何か納得できないなーもっとなんか言えることあるよなーと思ってちょっとひねっているのですが。

で、海南人文研究室の伊井暇幻氏は第二輯挿絵解説でこう書いていらっした。

「此を以て、玉梓の怨みは解消する。しかし後に里見家および犬士たちに、数多のマガツミが襲いかかる。
 余波は如何とも為し難い。蛇口を閉めれば水は落ちない。しかし盥に一旦落ちた水は波を広げ続ける。
 蛇口を閉めた途端に波立つ水面が急に治まったりはしない。【余波】とは、そういうものだ。
 玉梓怨霊は、一旦発動してしまった以上、色々と影響を及ぼす」
「(中略)玉梓怨霊は伏姫をして八房の子を懐胎せしめた。懐胎しちゃたのだから、後戻りは出来ない。
 そして、其れから発生した因果が、番作・亀篠の葛藤など其れ以前に発生していた因果と絡み、
 また新たな因果を発生させていく。関東連合軍対里見家の大戦で多くの因果は解消される」

つまり一度発生しちゃったもんは止めたとしてももうダメだと言うことだ。
賽は投げられた! のだ。

まあ、この辺りも個人的には納得しかねるけども…
でもま、このことを踏まえて、犬でもわかる八犬伝の呪いのしくみというか説明を
簡単に絵にしてみたよ。前書き長かったね。






















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(ももいろクローバーZ「PUSH」)



ってよくなーーーーーい!!!
でもしかし! PUSHされちゃったのである。
動き出した物語を止めることは出来ない! がんばれ次世代! つまり頑張れ八犬士!
玉梓の恨み自体は解けちゃってるけど腹いせにうっかり発動させてしまった、
問答無用にやってくる呪いや過酷な運命に、
抗え、立ち向かえ、そして生きるのだ!
ゆけ! 里見八犬士! はたらけ! 里見八犬士! がんばれ! 里見八犬士!
(ももいろクローバーZ「Z伝説 〜終わりなき革命〜」調でお願いします)

ちょう!! はた迷惑!!!!

以上ネタおわり。ちゃんちゃん♪
……玉梓はあんまりボケ側に回さないのでなんか新鮮だ。てへぺろ。

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