サト8六巻出る前のネタで「現時点で最後の男子の第一印象はとても悪いものになっている」
「従って人気は出ないのではないか」と書いたのですが、そん時辺りに思いついたネタ。
って大分古いですね。思い切り去年の絵だよ2012年産。

ルビタグを使っているのでブラウザによってはちゃんと表示されなくて変なふうになってるかもです。
firefoxだったらちゃんと表示されるアドオン入れておくといいかも。






そうなのだ。わたしと八犬伝でも書いたけど
私の中で第一印象が強烈に最悪なのはとにかくこの男以外にないのである。
なので私はネタとかとかいろんなところでこの男を最大限コケにしていこうと思っているのである。
……あ、いや言い過ぎた。そんなことはないよ、ウン。
…………75%くらいそうしようかなとは思ってる(ダメじゃん)





【道節】んなこと言ったってなあ、信乃。
【信乃】なに。
【道節】お前だって浜路のこと……見捨ててきたじゃねえか。
【信乃】……。
【道節】それだけじゃねえな。別の男に嫁ぎゃあ自分のことすぐ忘れるとも言ってたらしいじゃねえか。
【道節】……犬だって三日でも飼ってくれた主人のこたぁ忘れねえぞ。人間なら、尚更。
【道節】邪魔だったんだろうが、てめぇ。
【道節】浜路のことが。……俺の妹のことが。あぁ!?
【信乃】……何さ! 手当てすれば助かるかもしれなかった浜路を死なせたのはお前じゃんか!
【信乃】何が俺の妹だよ! ずっと離れてて顔だってわかんなかったくせに、今更出てきて兄貴面すんな!
【信乃】ていうか、本当はずっと、ずっと憎くて、殺そうと思ってたんじゃないの!? だから見殺しにしたんでしょ!
【道節】……ん、だとォ!?
【信乃】だって自分の母親殺した女の娘だもん! 道理は立つよ!
【道節】てめェ――いい加減にしやがれッ!!
【信乃】止めないよ! この……人殺し! 浜路を返せ!
【信乃】俺、俺やっと、浜路にちゃんと向き合おう……って……。
【信乃】思って……たのに……。







【荘助】よくもまあ……そんなこと、言い争うことが出来ますね、信乃さん。
【荘助】そう言う無神経なところ、昔から変わりませんよ。
【信乃】え……そ、荘助?
【荘助】道節さん。あなただってそうですよ。
【荘助】こればっかりは信乃さんの言う通りで、何故浜路さまをすぐにお救いにならなかったんです?
【荘助】ぺらぺらぺらぺら、喋ってるその時間で浜路さまは十分に助かったはず、ですよ。
【道節】お、おい……何だ、荘助、どうした? なんか、喋り方が……。



荘助は、伏せていた顔を、上げた――



【荘助】俺から言わせれば、あなた達の方がよっぽどですよ。
【荘助】信乃さん。あなた他の男に嫁げばって言いましたね。女は水性だからとか何とか。
【荘助】……俺ね、あの時本当は怒りたかったんですよ。
【荘助】何が女の恋如きで生涯をあやまたれんや、ですか。
【荘助】あの時の浜路さんは全力であなたに恋していたんです。
【荘助】あのくらいの娘さんが恋にかける力って、すごいんですよ。好きな人以外、見向きもしなくなるんですから。
【荘助】網乾さんのことにしても、代官のことにしても――俺のことにしても。
【信乃】え、おま……え……。
【荘助】命をかけることだって出来るんです。そしてだからこそ今、浜路さまはいません。
【荘助】あの方はそれくらいの覚悟のもと恋をしたんです。
【荘助】そして――俺はそれを、ずっとずっと、お傍で見守っていたんです。

【荘助】それをあなたは踏みにじった。(・・・・・・・・・・・・・ )
【荘助】そして道節さん。あなたはそんな烈女の託した最後の願いを捨てた。
【荘助】まるでどこかの王様が願いを聞かずに魔女を殺してしまったおとぎ話のように。(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ )

【荘助】怨霊として甦ってこないのが、いっそ不思議なくらいですよ。
【荘助】それどころか……ああ、浜路さまはやっぱり素敵なお方だ。
【荘助】死してなおも信乃さんを恋い慕って浜路姫さまの体を借りて今ひとたびの逢瀬を果たそうとした。清らかな乙女です。
【荘助】では彼女が心のどこかにきっと抱いていた無念や恨みは、誰が晴らす?
【荘助】晴らさないではいられないでしょう? 因があれば必ず果てる先があるのです。
【荘助】何より……俺が許しません。
【荘助】そんな風に、あの方の涙や悲しみや怒りを――
【荘助】ただ、捨ててしまうことは。
【荘助】だから。
【荘助】だから――――
【荘助】信乃さん。道節さん。
【荘助】俺は、あなた方を。







【信乃・道節】ぎ、ぎゃあああああ!!!!







その後、里見領内で信乃、道節の二犬士が一時期行方不明になったと言う……

−完−




いや完じゃなくて。
というわけで書いてるうちに自分でもヒートアップしてギャグなのか何なのかよくわからんネタとかになりました。
ブラックユーモアみたいな何か。そもそも私にユーモア分ない。

別に大塚村三人組の三角関係の泥沼化を推してるわけじゃないんですけど、
荘助の闇を考えるならここらへんに材を取るしかないんじゃないかなと
連作のネタ、本当小粒の種すら出来てないのって荘助と道節だけなんですよね。
(他は大体出来てるし既に書いてものも。この二人のアイデアが出れば八愛ゴール見えるのになあ)
だから何かつい習作でも書くかのようなノリで、彼の闇を探る感じで書いてしまいました。

荘助はこんな子じゃないです。玉梓度が上がったからこうなっちゃっただけです。
なんかこういう系のネタになりがちで荘助ごめんね。ネタ数も少ないのに。

もともとタイトルは「絶対に許さないよ」だったのにページ作る時「第一印象悪い人」ってタイトルつけて
原題つけなくてもいいか、と思ったけど、ブラック荘助パートがメインに近い感じになったのでつけました。
清廉潔白な荘助は義兄弟にこんな風に言わないし、思わないだろうから、
つけないでおこうかな、やっぱり。とも、思ったけど。いちおう。

自分は「絶対に許さない」より「絶対に諦めない」の方が言葉として好きです。
連作短編のテーマの一つでもあります。

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