きみはよその子 わたしの子供
閉ざした心の 窓を開くよ
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妾に殺され、母の腐っていく様子をただ見ていることしか出来なかった子。
路頭に迷い、飢え死にか、父と心中するしかなかった子。
妹が死に、因果の果てに、義弟の首を斬らなくてはならなかった子。
吹雪の中、死にゆく母をどうすることも出来ず、その身分を落としに落とした子。
父が死んでいるとは知らず、暴力を一身に受け続け、果てには妻を死なせた子。
父は腹を切り、その血を浴びてたった独りになってしまった子。
生まれる前から殺されかけ、生まれた後も、女として育ち、復讐の道を辿るしか生きる道はなかった子。
父に蹴殺され、伯父に父を斬られ、母もまた、喪った子。
全て、皆、私の子供達。
怨霊たる私の罪業を背負った、呪われた子。
世界から捨てられた、孤独な犬の子供達。
いいえ。いいえ。
違うわ。
あなたの子供達。そして、わたしの子供達。
決して孤独じゃない。
決して呪われているだけじゃない。
父や主君の仇を討つためにその闘志を燃やし続ける子。
困っている誰かに手を伸ばし、凛とした目で戦う子。
決して荒ぶること無く、暖かな目で、人を思いやる子。
どんなに低い身分に落ちても、誇りを失わなかった子。
たとえ偽物でも、孝行心を失わなかった子。
父の最期の願いを、希望を捨てなかった子。
無惨に死んだ父と家と母の為、刃を手にした子。
父と母、その愛と血と共に、この世界に甦った子。
全て、皆、わたしの子供達。
わたしの想いを、願いを、
そしてあなたへの約束を託された子供達。
決して独りじゃない、宿世の兄弟達。
この不条理な世界で、
幾多の困難が襲いかかる世の中で、
それでも戦い続ける、わたしとあなたの子供達。
そう。そうだとも。
お前らはせいぜい苦しめばいい。呪いの子。
どんな困難に遭おうとも、
どんな悲劇が起きようとも、
戦い続ければいい。
涙にまみれ、後悔に溺れながら、
それでも決して、
諦めてはいけないのだ。
そう。そうです。
どんなに苦しくても、
どんなに寂しくても、
戦い続けて。
いつかきっと、巡り逢える。
いつかきっと、希望は叶えられる。
あなた達の世界の窓は、必ず開かれます。
この世界に、光は満ちるのです。
その日まで、決して、
諦めないで。
そして、あなたも。
あなたも決して、呪われているだけじゃない。
わたしも決して、絶望しているわけじゃない。
あなたの世界に、光が満ちるまで。
わたしの言葉が、互いの光になるまで。
わたしのこども。 私のこども。
わたしとあなた。 私とお前。
――絶対に、諦めないで――
引用
「よその子」 谷山浩子『宇宙の子供』『花とゆめ』収録
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