2013.05.15
五月十五日は対牛楼の仇討ちのあった日です。
やっぱ毛野クラスタとしては絵が専門でなくとも描いておかなきゃ。

*

奪われたものを、取り返す。
あたしの家族の涙。あたしのお母様の年月。
そして、あたしの、本当の姿。
全部、全部、返してもらう。

憎いお前たちに、怒りと恨みの全てをぶつけて。

あたしが。

ううん。

――“オレ”が。

八つ裂きにして、取り戻す。


*






Pixivの牡丹素材にいい背景があったので使わせて頂きました。クリックで原寸。

私が毛野ちゃん好きな理由って単純に、女装少年だからって言うのもあるんですけど、
この「対牛楼の仇討ち」がもう一つの大きな理由だったりします。
厨二的な嗜好があるわけではないですけど(むしろスプラッタとかグロとか大の苦手です、特にスプラッタ)
たった13か14の男の子が、仇だけでなく、城中の人間を鏖(みなごろし)にすると言う
狂おしいまでの「激しさ」に強く心を惹かれるのです。
馬琴さまじゃないですけど、自分の専門の作家である泉鏡花の作品の持つ魅力にも通じると勝手に思う。

そしてタイトルの「処女を貫き棄てる時」について。もうどこかでとっくに語られてる考察かもしれないけど。
毛野はどうも対牛楼の仇討ちが終わるまで女装を貫いていたのかなあと。
仇討ちを経て初めて男姿になるのかな 男に戻るって言うよりも、「初めて」男の格好をする。
そこでやっと毛野は男になれるわけですね。女ではなく、女のような男でもなく。
なんかそれを考えてた時、
「女の子で言うとこの初潮みたいなもんか、毛野ちゃん血まみれになるし」
と思ったんだけど、あ、いや、もっと的確なものがあるぞ? って。
処女喪失です。人によっては血が出るし。
旦開野と言う“処女膜”を、犬坂毛野と言う“男根”が貫く。それが対牛楼の仇討ち。
だから、このエピソードは毛野の男性性の獲得を意味しているんじゃないかと思ったのです。
そんなわけでこんなタイトルをつけてみたりなんだり。

って、こう書くと童貞じゃなくなって初めて男性になる、みたいでアレですけど。
そんで毛野×旦開野とかっておぞましく誰得だよ…… 複雑すぎるカップリングで上級者向け過ぎるわ

ここのぺえじ、八匹の犬より愛をこめての毛野ちゃんは冷徹になりきれない弱さを残した優しい子であるので、
対牛楼のことは若干トラウマです。その辺りをネタにねちっと玉梓にいじめられてる話が「月が見ている月を見ている」
これも小説ページ新設する時に改稿しないと。
この話もまだ連作にする予定ない頃に「うおお書きたい!」って言う勢いで書いたものなので、
まだ玉梓とか毛野の設定がやや甘いところがあるけど、結構好きな話。

13.06.29 「月が見ている月を見ている」改稿版が出来ました。

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